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ギックリ腰と筋性腰痛が長期化してしまう原因
- 2020年06月17日
- 先月は虚弱体質のため、完治の展望が開けずにコルセットを装着し、故に背腰部の諸筋の萎縮のため外せず、治療が長期化している人の症例をご紹介しました。
今回も引き続き、腰痛が長期間続いてしまう原因とパターンをご紹介します。
腰痛が長期間続いてしまう、原因とパターンは以下の通りです。
・脊柱狭窄症
運動不足、筋肉未発達
・ギックリ腰
体を酷使している、腰に疲労が溜まる
・分離すべり症
運動などによる怪我
今回は、事故によるギックリ腰が完治したものの、症状が改善した分身体を酷使したため、筋性腰痛を発症し治療が長期化している患者さんの症例です。ギックリ腰と筋性腰痛が長期化してしまった実例
Sさんは草津市在住の49歳の男性で、建設会社の従業員です。
最初の腰痛を起されたのは6年前で、ユンボと呼ばれる作業機械から飛び降りられ、着地すると同時に腰に鋭い痛みを感じ、立ち上がれなくなり、同僚に抱えられて病院に担ぎ込まれました。
レントゲン検査では目立った異常は見つからず、病院での治療は湿布の処方だけだったようです。
翌日もまだ腰が痛く、布団からの立ち上がりも難しく、奥さんの手を借りてトイレと洗面、着替えを手伝ってもらい、今度は別の医療施設の診察を受けられました。
その医療施設(クリニック)でもレントゲン検査をされ、やはり異常が見つからず、今回はブロック注射の処方を受けられました。
治療後一時間も過ぎないうちに腰痛は綺麗に無くなったのですが、薬の効果は半日とは持ちませんでした。
二度目の受診時では電気療法と軽いマッサージを施されたようですが、殆ど効果はゼロに近かったようです。
一週間ほどの通院で上記の治療と日を於いてのブロック注射を受けられたのですが、仕事を休み続けるのに気が引け、腰痛を堪えての出勤となりました。
出勤を決められた頃は立ち上がって歩くことは可能でも、現場の仕事は不可能でした。
「また普通に仕事ができるようになったら出て来い」と上司に促され、帰宅されてからインターネットを検索されて、当院にお電話いただきました。
痛みに強いのか腰痛患者さん特有の歩きはされませんが、言葉はいかにも辛そうでした。
触診してみると背腰部の骨(胸腰椎)は少し飛び出てましたが、気になったのは骨盤との段差でした。
Sさんは腰椎の一番下(L5)と骨盤の一つである仙椎の一番上(S1)間にズレを生じておられます。
背腰部の諸筋に於いては、肉体労働者に見られる立派な筋肉をされてます。
以上のことから、腰部と骨盤で見られるだんさは落下によるもので、受傷前は正常なカーブをされていたのが容易に予想できました。
レントゲン検査では、「腰が痛い」の言葉で腰部のみ検査したのではないでしょうか。
いつものように脊柱矯正を図り、術後の注意事項と再発の予防の運動を指導し、お帰りになったのは来院されてから一時間後でした。
腰椎が後方に飛び出していたのですから、腰椎で5個ある骨の関節(椎間関節)の隙間を広げる必要がありました。
何故なら、自然なカーブとはアルファベットのS字をしているはずなのに、逆の方向に飛び出しているため、椎間関節の隙間が異常に狭まっているからです。
脊柱矯正で元のS字に戻れば、一時的ではありますが通常よりも椎間関節の隙間が大きく広がることになります。
故に前屈と急な振り向き動作などをされると、正常な隙間の場合よりも大きく腰椎が飛び出すことになるのです。
ですから上記の姿勢や動作を禁じることになるのですが、三日もすれば隙間が正常に戻るため、その間注意が必要なのです。
(但し、巨漢の人なら半日ほどで正常な隙間に戻ります。)神経性のギックリ腰から筋性腰痛に
Sさんは一回の治療で完治したことに驚かれ、お帰りになられたのですが、後日私のほうが驚かされました。
一週間も経たないうちに「また痛くなった」とおっしゃるのです。
「再発予防の運動はやってますか?」の問いに、「時間が無かった」とおっしゃいます。
前回の治療の翌日から仕事に復帰されたようですが、工事現場で頑張りすぎたようです。
それではと触診に入り、L5とS1に触れるとちゃんと整復できてます。
「ここが痛いのですか?」と指をあてて問う私にSさんは、「もうちょっと上」とご自分の指で示されます。
刺された箇所は腰椎直側で、今度は筋肉由来の疾患のようです。
該当箇所の腰椎の飛び出しは小さいものでしたが、やはり自然な腰のカーブは失われてます。
過緊張した筋肉の弛緩術と脊柱矯正を図り、更に他の箇所で異常が無いか探りました。
すると上肢(肩から掌)も下肢(股関節から足首周辺)の筋肉も著しく緊張し、大腿外側と内側に於いては腫脹を伴う筋肉の緊張が見られました。
幾つかの方法で治癒は見ましたが、何か酷く身体を酷使されたのが明確でした。
治療が終わり、帰られたら必ず再発予防の運動をすることを約束いただいてお帰りいただきました。
三度目の来院があったのは三ヵ月後でした。
再発予防の運動をしっかりやっていただければ腰痛は起きないはずですのに、少し私の自信が揺らぎました。神経性のギックリ腰から筋性腰痛になった原因
経過をお聞きすると、作業用の昇降機(エレベーターのような物)の故障で、人力により重量物の機材や工具を運び上げた際、腰痛を感じながら作業してたそうです。
今回も筋肉疲労が主で、腰椎のズレや飛び出しは見られませんでしたが、「仕事とは言え 無理なことをするんだな」と思いました。
普通なら昇降機が故障すれば修理を第一とし、昇降機に替わる物(例えばウィンチなど)を手配するべきなのではないでしょうか。
それを自身の力で、建設中のビルの上層まで重量物を運ぼうなんて思わないでしょう。
Sさんのお話では、前回の施術により全身が軽くなり、以前は疲労を感じての仕事が楽にこなせるようになったため、「無理が効く」と思われたようです。
もしそう思われて無理をされたとしたら、私が行なった上下肢の施術は逆効果だったことになります。
Sさんの最初の受傷はユンボから飛び降りたものでしたし、今回の受傷は本来なら機械で行なう運搬を人力で行なったための負傷です。
会社と言うものは労働災害には充分に配慮しており、従業員の怪我には極めて慎重になるはずです。
以上のことから無謀と言えるSさんの行動は、職場で叱責を受けかねないものです。
とりあえず筋肉の弛緩術で痛みは取り去られましたが、胸腰椎には弾力性が乏しく感じました。
以上のようなことを告げますと、「運動は時々やってます」、「帰宅が遅かったり、出勤が早朝だったりするので」とのことで、休日しか運動ができないようです。
「それでは仕方ない」となるべくの約束をいただいてお帰りいただきましたが、以後 現在まで短ければ一ヶ月に、長ければ三ヶ月に一度の感覚で腰痛を訴えて来院されます。
当院の治療は何もサイボーグのような身体を作るようなものではありません。
急変した身体を矯正したり、労働で疲弊した筋肉の整復を図るだけですので、決して無理が利く身体を作るものではありません。
上記のことをSさんに説いましたが、それでも「そう言わずにお願いしますよ」と通院を続けられます。
以上のようなことで先の展望が開けません。まとめ
Sさんの腰痛は一度目は腰椎のズレが原因で、神経痛と言えるものでした。
以後は筋肉疲労由来の腰痛です。
Sさんの会社が手がける現場が多く、遠くの職場に出勤するのに早出し、最後の現場から帰社する頃が深夜だったりするようです。
ですから腰痛の再発予防のための運動をいくら指導しても、平日は行なえないため、腰痛を起さない身体作りができません。
更に[無理が効く身体]になったと思われたことが、以後の身体を酷使させる要因になりました。
二度目の腰痛を起された際、全身状態も改善したため、以前までは或る程度の労働で達した肉体疲労が、治療以後には同程度の作業ではあまり感じられなくなったようでした。
現状を改善するには、管理職になられ、肉体労働をする頻度を下げるか、転職していただくしかありません。
著者プロフィール
兼田 茂和
国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。
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