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肩こりによる視力低下や難聴の障害

2020年11月24日
7月には肩こりによるストレートネックの症例と肩こり防止の一例を、先月は肩こり由来の疾患で自動車事故を起された症例をご紹介しました。
今回も肩こりによる頸部の動脈に圧迫が加わり、先の栄養を阻害された結果起こる症状のメカニズムについて述べさせていただきます。

肩こりで起こる障害

肩こりで起こる障害には、頭痛・嘔気(酷い場合は失神)、眼や耳の機能不全・首やその周辺の痛み・腕の付け根や腕全体の痛みと動かし難さ等があります。
中でも首から下の障害で、肩上部や腕の付け根の痛み、腕の痛みや痺れなどは、ご自身でも肩こりが原因と思われるでしょう。

しかし頭部の障害は、7月にご紹介した症例のごとく、肩こりが原因とは思われないことが多いようです。

眼や耳の症状は年齢的なものと思われたり、取り分け眼が見え難くなれば眼の使いすぎが原因と思われることが多いようです。
殊にパソコン作業が可能性の一つとも言えますが、眼の酷使だけが原因とは言えません。

では何故肩こりで眼や耳に障害が起こるのでしょうか?

視力低下の障害が起こる原因

眼球の中には水晶体と呼ばれるレンズの役目をするものがあります。
眼のピントを合わせるにはレンズ(水晶体)の彎曲を調整する必要があります。

眼球から遠く離れているものを見る際や、近くのものを見る場合でしたら、レンズの凹凸を調整しなければならないからです。
水晶体の周囲を毛様体と呼ばれる糸状の物質が囲んでおり、毛様体が引っ張られると水晶体は薄くなり、緩めば厚みを増します。

一連の動作を担うのが毛様体筋と呼ばれる筋肉は、手足の諸筋肉と同様に血液により栄養が届けられています。

眼に血液を送る動脈を頚動脈と言い、首の前方に左右各一本ずつ存在します。
頚動脈は頸部の筋肉に挟まれた状態で上行してますので、肩こりによる頸部の筋肉が萎縮したり過緊張したりすると頚動脈を圧迫します。

なので頚動脈の血流が滞れば毛様体筋は萎縮し、毛様体は強く引っ張られることによりピンと調整が果たせなくなります。
毛様体筋が萎縮したまま眼科を受診されると、視力測定により眼鏡による矯正が図られます。

既に眼鏡を使用していらっしゃる方なら度数を上げたりするのですが、肩こりが改善できれば血流も回復し、毛様体筋のはたらきが復活することになります。
毛様体筋のはたらきが復活すれば、眼鏡を誂える・度数を上げるなどのことは不要になり、せっかく誂えた眼鏡や度数を上げたレンズは不要になります。

難聴の障害が起こる原因

音や人の声は空気の振動として鼓膜と呼ばれる耳の器官を震えさせることはご周知の通りです。
鼓膜を境に外側を中耳、奥を内耳と言います。

内耳のすぐ奥には、耳小骨と呼ばれる極小さな骨が並んでおり、役目は鼓膜の振動を増幅するはたらきをします。
当然のことですが、耳小骨は宙に浮いているものではなく、筋肉に支えられています。

耳小骨で増幅された振動は聴覚神経に伝わり、頭脳に達して音や音声を認識します。

上記のごとく肩こりで頚動脈の血流が阻害されると、耳小骨を支える筋肉は萎縮し、硬くなることで耳小骨の振動の増幅が阻まれることになります。
このような病態を伝音性難聴と言います。

また耳小骨を支える筋肉が長期間硬くなっていると、聴覚神経は退化してしまい、補聴器が必要になるほどの難聴が生じます。
これを感音性難聴と言います。

更に鼻腔と内耳に通じている耳管と呼ばれる管も障害され、内耳と外界の気圧に差が生じ、耳閉感も生じます。
この病態が肩こり由来の症状であることを知っているのと知らないのでは大きな違いが出ます。

知らない場合、多くの人は耳鼻科を受診されますが、詳細は後述させていただきますがそれはまわり道と言えるでしょう。
しかし知っていた人なら、病院などへは行かれず、筋肉のこりを取り除くことができる施設を受診され、最悪の状態からの早期回避を図ることができます。

これでお判りいただけると思いますが、頭痛やその周辺の不具合、各部位の痛みなどを感じて病院などを受診されても改善が果たされず、症状の長期化を招く場合もあるのです。
下記の症例は上記の疾患の一例です。

肩こりが原因で突発性難聴の障害が起こった実例

今回の患者さんは病院勤務で、医療に直接携わるのではなく、医事課と呼ばれる部署で医療事務に携わっておられました。

1日の殆どを事務室内で過ごされ、時々立って歩かれることがあっても机のパソコンや書類に向かっている時間が多いそうです。
しかし昼食を摂ろうとする際や勤務を終えようした時に、頭を持ち上げた際に首の後ろや背中にちょっとした突っ張り感は感じることがあっても、特に強い肩こりなどは感じることが無かったとおっしゃいます。

同僚や義弟が「肩が凝ってしかたがない」とか、「昨日も整体に行ってきた」と言う言葉を聴いても「お気の毒に。自分はそんなのは感じたことが無いから幸せだな」と思っておられたそうです。
ところが異変は突然やってきました。

職場でいつものように作業しておられたら、何か妙にいつもと違う全く臨場感が無いと言うか、まるで異空間にいるように感じられたそうです。

違和感と言うのは、耳が詰まったような人の話し声や室内の様々な雑音がこもって聞こえるようになられたのです。
それで何度か耳の穴を小指で擦ってみたり、口を閉じて鼻を抓み息を吐いてみたりされたのでしたが変化がありません。

就業後に自宅に帰られ、入浴後に耳カキで両耳を文字通り血が出るほど掃除をしても、全く変化(又は改善)が無かったとおっしゃいました。
その後、仕事中に同僚から「耳が遠くなってない? 何度も聞き返すから!」と言われたのでしたが、しかしご自分はそれほどとは思っておられませんでした。

「話している相手が低い声でモゴモゴ言っているから聞き取れつらいんだ」などと思っておられたそうでした。
それでも何人かがそのような事を指摘するので、「やっぱりこの耳が詰まった感じのせいかな?」と考えるようになられました。

耳の症状は更に重篤化し、電話での会話が殆どできなくなったことから勤務先の耳鼻科で診察してもらわれました。
診断は[突発性難聴]と言うものでした。

当初の治療は薬剤投与でしたが、幾らか聞こえ方が改善されたように感じられたのでしたが、それは完全なものではなかったようです。
「相手の顔を見て話をしていたらそれほどでもないけれど、とっさに話されると何度か聞き返さねばならないことがある」とおっしゃいました。

その後物理療法などを試されましたが、聞こえている時もあれば聞き取れないこともあり、「電話での相手の声が話をする人物によっては聞き取れ辛かった」と続けられます。
それで耳鼻科の先生に「聞こえないなら補聴器を誂えようか?」と言われてしまわれたのでしたが、「まだ五十歳前だと言うのに補聴器なんて!」と拒絶されました。

当院を訪れられたのは義弟のご紹介で、「今までに肩こりなんて感じたことは無い」と強く断言されます。

この患者さんの頸肩背部は殊に筋肉の過緊張により頸部は異常に膨らんでおられ、頸部の可動性は著しく低下していたのですが、全く気がついておられません。
仕方なく私が示指の先で首の付け根(肩のほう)をちょっと突いただけで、「痛っ!」と筋肉が異常に緊張している事をやっとご実感されました。

このように[肩こり知らず]とおっしゃる患者さんにこの仕事をしていてめぐり会うことは少なくなく、「腕が上げられない」と来られる約半数の人が肩こりなんです。
それを薬剤(血管拡張剤や副腎皮質ホルモン剤)の服用では一時的な血流改善にしかなりません。

血流を阻害している筋肉の緊張を解さない限り、薬剤の効能が薄れた頃に、再び「聞こえない」と言う症状を来たしてしまうのです。

眼や耳に栄養を与える動脈は左右の頚動脈ですが、その源流を総頸動脈と言い、総頚動脈は頭と首に血液を送る本幹です。
右の総頚動脈は腕頭動脈の枝だとして、左の総頚動脈は大動脈弓のとつ側のなかほどから出て 頚部を上に上り、甲状軟骨(男性なら喉仏)上縁の高さで外頚動脈と内頚動脈とに分かれます。

外頚動脈は脳と眼球を除く頸部と頭部に血液を送っており、総頚動脈から分かれた後、首を上行します。
下顎角及び下顎枝の後ろ内側を下顎頸の高さ(顎関節の近く)で2本の顎動脈と浅側頭動脈とに分かれるのですが、その経過 顔面動脈を出します。

頸部の筋肉には顔を上げる際や頭を捻ったり頭を下げる際に活躍する胸鎖乳突筋や斜角筋があります。
左右の頚動脈は上記の筋肉に挟まれるかたちで上行しており、その筋肉がこりにより硬くなれば動脈を締め付けてしまうのです。

ですから硬くなったその筋肉を緩めてやらねばならないことはこれでご理解いただけるでしょう。

それで種々の揉捏法によるマッサージで頸肩背部の諸筋肉の緊張をほぐし、顔面部や頭部に上行する血流の改善を図ったのですが、それでも自覚症状の改善には至りません。
「何か頭が軽く感じる」とはおっしゃるのでしたが、聞こえかたは変わらないようでした。

次いで指圧で難聴の特効穴である聴宮と耳門を治療したうえで「聞こえ方はどうですか?」と再度お尋ねすると、「幾らかマシだけど、今ひとつ」とおっしゃいました。

長年血流状態の悪化を積み重ねてこられたのですから、私も一回の施術で寛解が見込めるとは思っていませんでしたから、以後数回の通院をお願いしました。
以後の治療では、関節可動域が狭まった肩関節や、机上の仕事で円背を余儀なくされた胸椎の整復を図りながら主訴である顔面部や頸部の血流の改善を図っていました。

四度目の施術中、「耳の穴に塞がっていた物が外れたよう」と言う表現で改善をご実感されたようでした。

この患者さんは数日後のご予約をお取りになってお帰りになられたのですが、二日後のお電話で次回の予約のキャンセルをされました。
「完全に治ったようで、人の声も周囲の音も普通に聞こえるようになりました。」とお喜びになり、私は「念のため一ヵ月後にお越しください。」とお伝えしたのです。

この例でおわかりいただけたと想いますが、肩こりを起こされる人の中にはそれを自覚症状として感じられる人と、自覚できない人がいます。

こりを自覚される人でしたら、それに伴う視力低下や難聴などが生ずる前に上記の動脈を締め付ける筋肉のこりを自覚されるため、重篤化が避けられます。
症状が長期化し、重篤になった人では上記のような治療を施しても、早めに治療を施せた人ほどには改善が見られないことも予想できますし、通院回数も増えることになります。

まとめ

このような患者さんは、私が治療後に筋肉の緊張度の確認で確かな手応えを感じたにも拘らず、「楽になったのか、軽くなったのか自分ではわからない」とおっしゃいます。

当然のことですが、こりの自覚が最初から無かったのですから、筋肉が緩んで血流が改善したからと言って、それを自覚されることは殆どありません。
少なくとも肩こりを自覚できる人でしたら、こりを感じたならばその際、首を回したり肩を回すなどの対策をとられますが、自覚できない人ですと症状を悪化させられます。

肩こりなどが自覚できない人は頭部の症状(難聴・視力低下・頭痛)が生じても、その部(眼や耳や脳)の固有の病気と捉えられますので、根源の治療はされません。
同じ作業をされていても凝らない人と言うのは、ご自分でこりに対するケアが充分な人でしたらそれはありえる話です。

そのような人でしたら、普段から充分な柔軟体操とか 凝る前に姿勢を変えてみたり、作業のローテーションに工夫をされるような事をされておられます。

今回ご紹介いたしました患者さんは現在、半年から7ヶ月に一度、首や肩関節周囲に突っ張り感などの異常を感じるようになってから、来院されております。
もっと重篤な例では、私のところへお越しになられた時には既に補聴器をご使用されておられる方もおられました。

そのような方達でも個人差はありますが、始めは長い人で一ヶ月から一ヵ月半、短い人でしたら二週間から三週間ぐらいは補聴器を装着せずに会話ができるようです。
治療を積み重ねるうちご来院していただく間隔が徐々に開いて、数ヵ月後に一度と言った具合に受診されています。

以前補聴器を使われていた人などは、「今は何処かに片付けて判らなくなった」とおっしゃる患者さんもおられます。

※突発性難聴
全ての病因が解明されているわけではありませんが、今日までに原因として考えられたものは、血管障害・ウイルス感染・内リンパ水腫・正円窓破裂などがありますが、一番多い原因は血管障害=血流障害で、何らかの原因により聴覚に関わる血流が阻害されたことにより難聴を来たした場合が多いようです。
主症状は感音難聴で、耳鳴・耳閉感、時に眩暈・嘔気・嘔吐などを伴い、専門病院などで行なわれる治療は副腎皮質ホルモン剤・血管拡張剤・ビタミン剤などを中心とする薬剤療法に加えて、星状神経節ブロック・ヨード性造影剤静注・極超短波療法・高圧酸素療法など各種の方法がありますが、まだ決定的なものはないのが現状です。
薬物療法では改善の度合いが多様で、専門家の先生の中には「進行を遅らせるだけ」と言うご意見もあるのですが、何れにしても早期に治療を開始すれば完治するケースも少なくないと言われております。


今年も皆様方には大変お世話になり、厚くお礼申し上げます。
来年こそは良い年であるように願っております。
当院は年末 年始のお休みはいただかず、通常の体勢で営業しておりますので、たとえ元旦でもご予約いただけます。

著者プロフィール

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兼田 茂和

国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。

お気軽にお問い合わせください tel:090-9217-2959 WEBサイトの営業電話はお断りしております。

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