- トップページ
- >
- 新着情報
肩こりの原因は足の長さや咀嚼にも?特殊な例をご紹介!
- 2020年12月24日
- 前回までは肩こりで起こる様々な症状やそのメカニズム、対処方法などをご紹介してきました。
今月は「こんなことでも肩こりに?」と思われるような症例をご紹介します。
多くの肩こり患者さんは机上のお仕事をされる人が多く、その仕事姿勢が長期化することで慢性的に姿勢維持に関わる筋肉が硬く張ってしまわれます。
ところが机上のお仕事でない人でも、例外的に肩こりに見舞われることがあります。足の長さが肩こりの原因になった実例
患者さんは自動車整備に関わるYさん47歳男性。
慢性的な肩こりに悩まされ、最初は鍼治療を受けておられました。
鍼の効果は二日ほどで、凝りの再発を感じてからは、仕事中でも手が空いたら首や肩を回しておられました。
縁あって当院を訪れられ、凝りを起している箇所の触診後に全身状態を診せていただいてすぐに肩こりの原因が判明しました。
Yさんの左足は膝関節が完全伸展できず、ベッドと膝裏が約2cm浮いています。
そのため左足のかかとは右足のくるぶし辺りの位置で、左足の長さが3~4cmほど短くなっています。
このように左右の脚の長さが違うことを、脚長差と言います。
Yさんの場合左右の脚の長さ違うことが原因で、胸椎(背中の骨)は左側に傾いています。
上記のように背や腰が側方に彎曲する状態を側弯症と言います。
背中が左に傾いているのですから、左側の肩もその分だけ下がることになります。
一方視線は平行を保つため、逆に頭が右に傾き、首を支える左側の頸部の筋肉は頭が傾いた分だけ引っ張られることになります。
このような姿勢を維持しているのですから、左側の頸部の諸筋だけでは済まず、腕を吊るために支えている肩上部の筋肉までも凝ってしいます。
全身の状態を確認したあと、左膝関節の曲げ伸ばしに関わる諸筋肉を緩ませ完全伸展を可能にし、脚長差を解消しました。
次いで背部の矯正を図り、最後に主訴の頸肩部の諸筋の凝りを取り除いて治療を終了しました。
問題は「何故Yさんが左膝関節を曲げたままになってしまったのか?」です。
その原因を探る必要があるのですが、まとめの際に述べさせていただきます。咀嚼が肩こりの原因になった実例
患者さんは美容師のRさんは61歳女性です。
仕事柄腕をよく動かすことが多いため、今までは肩こりを訴えられることは有りませんでした。
しかし背中や腰を屈めることが多く、腰痛の治療で当院に通院されています。
ある日の治療時に珍しく「何故だか、首の左側が凝ったみたい」とおっしゃいました。
「珍しいですね。首や肩、腕をよく使われる人なら、凝ることは少ないんですが」と伝え、頸部を触診してみると、確かに左顎から肩の付け根付近までの諸筋肉の過緊張が確認できます。
左顎からの過緊張が確認できたので、顎の左右差を確かめようとRさんの口の周辺を触診するとすぐに原因が判明しました。
触診後、Rさんに「ひょっとして食べ物を噛むのが右側だけになってませんか?」とお聞きすると、答えは「YES」でした。
つまり原因は、Rさんが咀嚼時に右側だけで噛んでいたため右側の筋肉しか使われず、使われることがなかった左側の筋肉が緊張も弛緩もできなかったことでした。
使うことのない筋肉は萎縮し、血液の供給も受けられないため硬く張ってしまうわけです。
口の開け閉めに関わる筋肉の治療はマッサージで事が足りましたが、右側だけで噛む食事が長く続いていたのか、頸肩部の治療も必要でした。
「今後はできるだけ両方の歯で噛んで食事してください」とお伝えしたところ、Rさんは「左側の歯で物が噛み難い」とおっしゃいました。
どうやらRさんは、数週間前に左下の奥歯の治療を受け、以来治療した歯で物を噛めなくなっておられたようです。
「ではもう一度歯科を受診されたら?」とお伝えし、そのようにされたのか以後は顔面や頸部の凝りを訴えられません。筋肉の凝りとは
以前から何度もご紹介しているように、筋肉は緊張と弛緩を繰り返し、活動することで身体運動を果たしております。
関節を曲げ伸ばしすることで、筋肉の力を発揮している際はON。
力を抜いて弛緩している際はOFFとします。
例えば鉄棒にぶら下がり、鉄棒を握る指を曲げるはたらきをしている筋肉はON。
逆に指を伸ばす筋肉ははたらいてませんからOFFです。
肘ではただぶら下がるだけなら、腕の筋肉は肘を伸ばす筋肉だけが働いていることになります。
なので肘を曲げる働きをする筋肉はOFFの状態です。
数分間鉄棒にぶら下がり、活動していた筋肉に触れると硬く張っていることがお判りいただけるでしょう。
逆に拮抗する筋肉では柔らかく、OFFの状態になっていることはお判りだと思います。
ONの状態が長く続けば、緊張している筋肉はその分だけ緊張が増すことになります。
筋肉の凝りとは、上記のような筋力を発揮し続けた筋肉が、ONの状態からOFFにならないものを言います。
つまり拮抗筋肉を働かせれば、筋肉の凝りは防げるのです。
筋肉がOFF確認の状態でしたら、動脈から栄養豊富な血液の供給を受けられ、ONに備えることができます。
しかしONの状態が長く続けば、新たな血液の供給が受けられず、筋肉は硬く凝った状態になります。まとめ
Yさんのように凝っている諸筋肉を解すための運動は、更なる凝りを避けるための自分でできる最良の方法ですが、凝りを自覚する前に行なえばもっと有効です。
しかし肩こりの本当の原因を探らなければ、常に凝りを起す筋肉の運動を行わないといけませんから、全身状態を診てくれる医療機関の受診が必要です。
Yさんが左膝関節を曲げたままになってしまった原因は、左足を引き擦る癖があり左踵を地面に擦り付けて歩いているからでした。
当然踵が地面を擦らない正常な歩きを心がけて歩かれることが、最良の肩こり予防につながります。
Rさんの場合は一方の歯で噛むことが難しく、片側だけで食物を咀嚼されていた結果、使われてなかった側の咀嚼筋の凝りが原因でした。
ですから噛めない原因を取り除くことが、最大の凝りの予防につながるのです。
Rさんとは逆に肩こりで歯茎を腫らされ、肩こりが原因だとも知らずに歯科治療を行なってしまわれた例も少なくありません。
当然歯科治療だけでは肩こりは改善しませんから、歯科を受診する前に肩こりを改善させれば、不要な歯科治療費は節約できるでしょう。
今年も皆様方には大変お世話になり、厚くお礼申し上げます。
来年こそは良い年であるように願っております。
当院は年末年始のお休みはいただかず、通常の態勢で営業しておりますので、たとえ元旦でもご予約いただけます。
なので治療が必要な場合は、遠慮なく当院までご連絡ください。
著者プロフィール

兼田 茂和
国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。
WEBサイトの営業電話はお断りしております。