滋賀県、腰痛治療

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腰痛の再発予防に問題が?人工透析が思わぬ影響に

2022年02月28日
今年の最初のテーマは腰痛です。
治療が完治し、再発予防を試みたのにも関わらず、思いも寄らないことが原因で、再発予に期間を要した症例をご紹介しております。

前回は問診や触診で判明した原因を取り去ったのにもかかわらず、隠れた筋肉の弱体化により腰痛を再発してしまった人の症例をご紹介しました。
触診では得られない骨盤内の筋肉や、複数の筋頭からなる筋肉の一つの障害により、破歩を余儀なくされたのが原因でした。

今回の第二段は、私が思いもつかなかった身体内部の異常?により、腰痛の再発予防に期間を要した人の症例です。

実例2:幾ら頑張っても筋肉の発達が見られなかった人

Gさん七十五歳男性は作家で、私も知る時代もの等の作者です。
作品にはペンネームを使用しておられ、Gさんとは本名の頭文字です。

他の作家さんを多く知ることは少ないので、Gさんの身体状況が職業からなるのか否かは判明しませんが、若干肥満体型気味の身体をされてました。
当初の主訴は肩凝りで、幾度か当院を通院していただいて、ケアに努めていただいておりました。

Gさんとのお付き合いは長く、通院頻度はまちまちで、二ヶ月に一度だったり半年ぶりに来院されたりしてましたが、当日は一年と少しぶりに来院されました。
今回の主訴は首と背骨直側と腰の痛みでした。

一年超ぶりに触診させていただくと痩せが見られ、著しい筋肉の衰えが見られたのですが、一般的な廃用性萎縮による筋肉の衰えだけとは思えません。

以上のことをお伝えすると、Gさんは「自病の糖尿病を悪化させ、今は人工透析を受けている」とのことでしたが、これが症状の長期化に関わるとは当時は思いもしませんでした。

正常な身体には「筋肉」が必要

主訴が肩凝りだけだった時にも背腰部は少し丸みを帯びておられたのですが、その際にも脊柱矯正を図り正常化に努めてきましたが、状態が悪化してしまったようです。

衰えは筋肉だけに留まらず骨も脆弱が見られ、施術は慎重を要しましたが、それでも正常な身体のカーブを取り戻せましたが、状態を維持していただくのに期間を要しました。
何故なら筋肉の発達がない状態で悪い姿勢を続けてしまうと、その姿勢の状態で固まってしまい、それを正常化するには反対方向に反らせる「筋肉」が必要になるからです。

執筆中は書くことだけに専念され、良い姿勢を取ることなどは念頭には無いでしょうから、柔軟運動に加え筋肉の強化運動も必要です。
しかし短期間でそれが成されるはずも無く、案の定期間をおかず、「腰が焼けるように痛い」と再来院され、再び治療を施すことになりました。

勿論 前回の来院時に再発予防の運動を指導したのですが、前回の来院時と同様、左右の胸椎と肩甲骨の感覚が広がって横にも、胸腰椎の後方突出により縦にも曲がってます。
つまりGさんの背は左右の肩甲骨の間が開き横にも、背腰部の胸腰椎が後方に飛び出すことで縦にも丸くなって、正常な身体のカーブが失われています。

筋肉の発達が見られない?

Gさんのお仕事は書くことだけではなく、調べもので立ち歩くことも少なくなく、図書館や民族資料館を訪れる必要があるようでした。
執筆中はそれほど痛みを気にすることは無くても、腰痛が原因で「立ち上がりの痛みを堪えるのが辛い」とおっしゃいます。
再び身体の自然なカーブを取り戻して、再発予防の運動の実行を確約していただいて治療を終了しましたが、それでは済まなかったのです。

三度目の来院は一週間後でしたが、何故だか運動してもらっているのにもかかわらず、脊柱の左右の筋肉(脊柱起立筋)の発達が見られません。
ですから全ての治療後に全身をマッサージし、ご本人に血流の促進の影響を確かめていただきました。
Gさんは「体がホカホカし、軽く感じる」とのお言葉をいただいて、更に血圧を測定したのですが、マッサージの影響を示す数値が見られません。
一般に血流の促進が見られれば諸動脈は膨張し、血圧が上がるはずですのに、数値は低いままです。
ですから身体内部に異常があるとしか考えられません。

人工透析の影響で・・・

血液に問題があったのです。
それは、Gさんの係っている病院の医師が「人工透析のフィルターを詰まらせないため、ヘマトクリット値を低くしている」の言葉で明確になりました。
Gさんは赤血球が増えすぎないよう、食事で栄養をコントロールされていたのです。

当該医師にGさんの病態を示し、妥協していただける範囲でヘマトクリット値を上げていただき、筋力強化運動で腰痛の再発を防ぐことが或程度できました。
以来Gさんが腰痛で来院される頻度は当初は二週間ぐらい、翌月からは20日以上日を経て、現在は一ヶ月以上と下がりました。

まとめ

Gさんは糖尿病を悪化し、人工透析を施されていたのですが、何故だかこの治療でフィルターの透過性を良くするため、血液成分の量を低くされていました。
食生活ではヘマトクリット値が上がらないように注意され、結果的に筋肉の着き難い食事をされていたようです。

ですから再発予防の運動を行ってもらっても、柔軟性はおろか背腰部の筋肉の増加には至らなかったのでした。
妥協値でヘマトクリット値が幾分か上がったことで、僅かですが筋肉の発達が見られました。

筋肉の発達は充分とはいえませんが、胸腰椎の柔軟性が維持されたことにより、執筆による背や腰が飛び出しても、その後の背屈運動で或程度元に戻せるようになりました。
ですが執筆に熱を上げ、長時間背を丸めれば腰痛が再発するのは言うまでも無いことです。
しかし時々背腰部の柔軟運動をされることで、来院していただく頻度が下がることは間違いの無いことでしょう。

現在は一ヶ月を過ぎる頃に「念のため」と言うように脊柱矯正のために来院されてますが、もう少し筋肉の増加が見られれば来院の頻度は下がるはずです。
私がGさんの体質の変化に気がつかず、単にGさんが再発予防の運動を怠っているだけと思ってしまえば、治療の長期化に陥ったでしょう。
良い結果を得られたのは、他の患者さんにも人工透析を受けておられる人がおられたからで、「ひょっとして」と別の原因を思い至ったからでした。

※ヘマトクリット値とは

血液中で、赤血球の占める容積の割合をヘマトクリット値(血球容積比)と言います。
血液全体の占める赤血球の容積の比率(%)のことです。
血液全体から見て赤血球は男子で45%・女子では40%で、細胞成分の割合は、赤血球の割合とほぼ同様です。
血液を試験管にとり、凝固を防ぎ延伸沈殿してその赤血球層の高さの全体に対する比を求めたものを言います。

余談ではありますが、貧血とは赤血球の産生より破壊のほうが多いと赤血球の数が減少します。
或いは、ヘモグロビン量やヘマトクリット値が減少しますが、これを貧血と言います。
貧血のときは赤血球の数・ヘモグロビン量・ヘマトクリット値は何れも減少します。
参考までに。

著者プロフィール

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兼田 茂和

国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。

お気軽にお問い合わせください tel:090-9217-2959 WEBサイトの営業電話はお断りしております。

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