滋賀県、腰痛治療

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治ったと思ったら腰痛再発・・・実は尿管結石?

2022年04月08日
治療が完治し、再発予防を試みたのにも関わらず、思いも寄らないことが原因で、再発予に期間を要した症例、今回は第4段です。

前回の内容

前回は腰痛患者さんが自然なカーブを取り戻し、腰痛を感じることが無くなったのにも関わらず、腰部の筋肉の発達が遅延してしまった人の症例でしたね。
その症例の原因はコルセットの装着でした。
私にコルセットの装着を告げずに日常的に装着されていたのです。
コルセットを日常的に使用すると、姿勢の矯正をコルセットに頼り切ってしまい、筋肉の発達を阻害してしまうので、腰痛再発の原因につながってしまいます。
ですからコルセットの装着を直ちに止めていただき、ご自身の筋肉発達を確認してから当院の治療は終了しました。

今回のお話は番外編とも言える症例で、「何だ! そんな事か」と言うものでした。

治療前の状態

Hさん34歳は漁業関係者の男性で、ご自分の船で魚を捕ることを生業とされています。
当然腰を屈める事が多いお仕事で、時々船上で腰痛に見舞われ、その都度背や腰を背屈され、慢性的な腰痛に耐えながらお仕事を続けていた様です。

そんな生活のため、陸地に上がっても腰痛を常に感じておられ、睡眠時も仰向けでは寝られず、七転八倒のようにバタバタと寝返りを打たれていたそうです。
そんなHさんを見るに見かねたご家族の勧めで当院を訪れられました。

Hさんの身体は下位胸椎から全ての腰椎が後方に飛び出し、腰椎のL3がやや左に捻れた状態でした。
当然仰臥位で寝ていただくと、股関節と膝関節が完全伸展できない状態で、ご自分ではこれが正常だと思われていたようでした。

筋肉はと言うと力仕事が専らなためか、背部椎骨左右の脊柱起立筋や表層の僧帽筋や広背筋には異常が見られず、どちらかと言うと発達が見られるほうでした。

ところが腰部脊柱起立筋が萎縮傾向を示していました。
原因は常に下位胸椎と全腰椎が後方に飛び出しているため、この部だけが伸展を余儀なくされていることに違いはありません。

治療の開始

治療は完全伸展できない股関節と膝関節の整復から取りかかり、殿部と大腿部の諸筋の緊張緩和を試みました。

真っ直ぐになった股関節や膝関節のおかげで殿部の突っ張り感が無くなり、Hさんは「ちょっと腰が楽になったみたい」とおっしゃりました。
少し期間は要しましたが背腰部の脊柱矯正も図れ、正常な身体のカーブを維持していただく運動を指導し、二週間後の予約を取って帰宅していただきました。

後日の来院時には完全とは言えないまでも多少の筋肉の発達が腰部で見られ、直立姿勢は正常でしたが歩行姿勢でやや前屈姿勢を取られます。
原因は殿部の大殿筋と呼ばれる筋肉がまだ未発達なため、先の背腰部の筋力強化運動に加え大殿筋の筋力強化運動を指示しました。

初診から40日ほどで全ての筋肉の発達が見られ、私が「これなら大丈夫。今後も運動は欠かさないように!」とお伝えして治療を終了しました。

再来院・・・「以前とは違う痛さが腰に感じる」

ところが約一ヵ月後に再来院され、「以前とは違う痛さが腰に感じる」とおっしゃるのです。

私が「どの辺りですか?」とお尋ねしても、Hさんは「今は痛くないから何処とは言えない」とおっしゃいました。

触診してみても骨は正常で、中位胸椎から全腰椎は前弯し、完全な状態で自然なカーブを保たれていて、筋肉にも異常は見つかりません。
それでも腰椎の何処かで神経が挟まれているのではと、打腱槌(叩く部分がゴムで出来た小さなハンマー)で下位胸椎から全腰椎を叩き、痛みの原因を探りましたが見つかりません。

しかし二度目に下位胸椎を叩くと、「小さな痛みを感じる」とおっしゃった部分は腰椎はおろか、胸椎からも離れた場所を示されました。

実は尿管結石だった

私が「ひょっとして痛い場所が移動してませんか?」と尋ねると、「判らない」とおっしゃるのですが、私は内科疾患を疑いました。

更に「最初はこの辺が痛く無かったですか?」と腎臓の下辺りを指で押すと、Hさんは「そうかも」とおっしゃいます。
私は尿管結石を疑ったのでしたが、その可能性が強くなってきました。
私が泌尿器科か若しくは内科を受診することをお勧めし、Hさんの要望で内科クリニックをご紹介しました。
結果、エコー検査で少し大きめの結石が見つかり、後日総合病院の治療を受けられて完治が見られたようです。

まとめ

Hさんの腰痛は身体の自然なカーブが失われた結果起きたもので、船の上などで中腰を余儀なくされたため、筋肉の血流障害によるものでした。

更に上半身が常に前傾していたため、転倒を避けるために股関節と膝関節を常に屈曲させなければならなかったため、治療に期間がかかってしまいました。

筋肉は常に力が入った状態では血液の供給を受けることができず、例えば関節を曲げたり伸ばしたりせねばそれに携わる諸筋肉は廃用性萎縮をきたしてしまいます。

常に筋肉が伸展した状態では血液からの栄養を受け取れず、筋肉は硬く固まってしまいますが、この状態を廃用性萎縮と言います。

萎縮により筋力が減退すれば、筋肉の発揮するピークが早まり、ちょっとしたことで痛みとして筋力の限界を脳に伝えます。

つまり現状の姿勢を維持しようとすれば、ずっと痛みに耐えなければならないのです。
ですからラジオ体操などは、筋肉の廃用性萎縮を防ぐ一つの方法と言えるでしょう。
しかし作業中では適わないため、時々現行の姿勢とは反対の方向に関節を動かす必要があります。

つまり前屈姿勢なら背屈、腕を伸ばしたままの姿勢なら屈曲、膝を曲げたままの姿勢なら伸展させれば筋肉の萎縮が避けられるでしょう。
問題は背や腰の骨(背なら胸椎・腰なら腰椎)です。

既に胸腰椎が後方に飛び出したまま固まってしまっているなら、胸腰椎の正常化を図らねばなりません。
ですから脊柱矯正が可能な治療院の施術が必要になるわけです。

余談

次に余談ではありますが、尿管結石症について述べさせていただきます。
尿路結石症の一つで、腎で産生された結石(腎結石が尿流とともに尿管内に下降し、嵌入したものと言われております。
症状は結石による尿流障害による側腹部痛ですが、自覚症状が背部に感じることも少なくないようです。

多くは仙痛発作として発症し、嘔吐・血尿・顔面蒼白・冷汗などをしばしば伴います。
大きさが10mm以下の小結石の場合には、尿中に約80%は自然排出されると言われております。

診断は検尿により赤血球を認めることと、腎・尿管・膀胱部単純撮影で尿管走行部に石灰化像を認めることができます。
画像検査では一般にエコーが用いられ、結石の大きさなども観察できるようです。
治療は疼痛時には鎮痛剤・鎮痙薬の投与を行い、小結石で水腎症などの腎機能障害を起していないときには利尿剤などの投与により排出を促します。
自然排出が不可能な場合、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や、経皮的腎尿管切石術(PNL)なども行なわれます。

ご参考にしていただければ幸いです。

著者プロフィール

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兼田 茂和

国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。

お気軽にお問い合わせください tel:090-9217-2959 WEBサイトの営業電話はお断りしております。

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