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完治に期間を要する典型的なパターン ⑥
- 2023年01月10日
- 新年 明けましておめでとうございます。
旧年中は皆様方にお世話になりまして、心から御礼申し上げます。
本年も皆様方の正常な日常生活の一助として、微力ながら努力いたそうと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
さて、昨年の後半から治療が長期化する典型的なパターンの実例をご紹介してきました。
ある患者さんは「こんなことで?!」と思うようなことで、症状の再発により完治に期間を要してしまったとか。
他の例では私が指導した運動が煩わしく、自己流の運動を行なったため、せっかく発達した筋肉が脆弱化してしまい、一からやり直しになってしまった人の症例をご紹介しました。
昨秋からは当院を受診するまでに他の医療機関を受診し、誤った治療法や誤診により完治に至らず、結果無駄に期間を要してしまわれた人の症例をご紹介しました。
今回の症例も同様で、痛みで整形外科を受診したにも拘らず原因が判明せず、もっと大きい病院を受診して検査を受けても同じで、最終的に内科疾患を疑われ入院してしまわれた人のお話です。実例:関節の異常を内科疾患と疑われた人
Hさん61歳は建設資材を販売する会社の三代目です。
しかし会社と言っても従業員はご自分と奥さんを入れて7人ほどで、時々重量物の移転やトラックへの積載などもされてました。
身体に異変を感じたのは4年前で、パレットと呼ばれる台に資材を積んでいた最中でした。
最初はそれほど鋭い痛みではなかったようでしたが、続けて作業ができるほどではなかったため、事務所の椅子に座り腰の辺りを摩られてました。
その間は痛みは殆ど感じなかったため、立ち上がって作業の続きをしようとされたのですが、背を伸ばそうとすると局在性の乏しい、しかし強い痛みを身体の後側で感じられました。
痛みのため直ちに近所の整形外科クリニックを受診され、レントゲン検査をされたようでしたが明確な異常が見つからず、湿布と鎮痛剤の処方を受けられました。
鎮痛剤の服用で痛みの感じ方は小さくなったようでしたが、完治にいたるどころか正常な立位姿勢がまだ取れません。
つまり背を丸めた[猫背姿勢]でしか、立つことも歩くこともできなかったようです。
再診時に当該医師に「何とかならないのか!」とつめより、紹介状を書いてもらい、市外の総合病院の整形外科を受診されました。
そちらではレントゲン検査以外に種々の検査もされたようでしたが、最終的に特発性腰痛と診断されたようでした。
特発性腰痛とは:
一般的に腰痛の原因が明確なのは全体の15%ほどで、それ以外で原因が特定できないよう痛を特発性腰痛と言います。
結局最初のクリニックで投薬治療を続けられたのでしたが或日、痛みの箇所が下腹部右側にも生じていることに気がつかれ、二度目に受診した総合病院を再度受診されました。
そちらの医師は背腰部の痛みや下腹部の痛みを、虫垂炎や大腸癌などの消化器疾患と疑ったようでした。
検査は血液検査に加え造影剤を腸に注入し、画像で患部を探そうとするものでしたが、全く異常は見つかりませんでした。
結局10日の入院でも痛みの原因が判明せず退院を余儀なくされたのです。
当然身体の不自由が改善できるはずも無く、以後は椅子に座っていれば痛みを感じることが無いことから、事務仕事のみをされていたようです。
当院を受診されたのは最近で、史上最大と言われた台風が日本を襲った翌日でした。
「首や肩が痛くて、頭がボォーとして、雲にでも乗ったようにフワフワした感じがする」と言うのがHさんの主訴でした。
Hさんは一日中机上の仕事でパソコンを使い、顔を画面に固定した姿勢を続けたことで頸肩部に腫脹を作り、頭部の血流が悪くなったことで症状を起されたのでした。
胸腰椎も柔軟性を無くし、姿勢を正しくすることが困難だったようでその事を問うと、前述のことをお話になりました。
ベット上の幾度かの体位変換で触診し、下半身に明らかな異常を見つけたのは仰臥位姿勢で両側股関節と膝関節を完全伸展させようとしたときです。
右骨盤の腸骨がやや広がり、股関節の位置に左右差があるのを見つけました。
当然足先は外反し、両膝間は大人の拳がすっぽり入るほど広がってます。
治療は頸肩背部の諸筋肉に加え右殿部の諸筋、大腿部の諸筋肉を緩ませ、脊柱矯正術と骨盤矯正術で腰殿部を整復し、ベットから立ち上がっていただきました。
Hさんは肩凝り症状が無くなったことより、腰が真っ直ぐ伸ばせることに驚かれ、「何故っ?!」とお尋ねに成られました。まとめ:
Hさんの最初の症状の起因となった動きは、腰を屈めた姿勢で重量物を左側から右側のパレットに移して折られる最中でした。
つまり上半身の力だけで重量物を移しておられたのでしたが、無理な姿勢をとっておられたため、骨盤の一部(右側腸骨)が異常に広がってしまったため痛みを生じたようです。
骨盤の左右の腸骨の前は恥骨と関節し、後側は仙椎と関節しています。
ご存知のように関節が存在すればそれを動かす筋肉が存在しますが、詳細は後述させていただきます。
結局Hさんの局在性が乏しい身体後側の痛みとは、骨盤周辺の筋肉の過伸展であることはこれで明確になったと言えるのではないでしょうか?。
勿論、身体を屈めた姿勢で重量物を移転させておられたのですから、背腰部の諸筋肉(主に僧帽筋 広背筋 脊柱起立筋)も労働性の痛みがあった羽津です。
Hさんの場合、以上の諸筋肉の痛み以外に腸腰筋の右側と同側中殿筋の過伸展が予想できました。
開きすぎた腸骨では股関節も広がり、仰臥位姿勢ではその側の下肢は外反しますので、膝と足先が外を向きますから、我々理療師なら見逃すことはまず無いでしょう。
おそらく前述の医師たちは身体の後側の局在性の乏しい、強い痛みを最初「腰椎の異常では?」と考えたのではないでしょうか?
更に種々の検査でも腰に異常が見つからず、下腹部に痛みがあればそれを消化器疾患のような「内臓疾患では?」と考えたのですから治療が長期化するのは当然のことです。
昨年の新着情報でも幾つかこのような症例をご紹介しましたが、最近の整形外科医の先生方は触診を疎かにし、画像検査に頼る人が多く見られます。
何より長期間現在の症状に改善が見られなければ、他の医療機関、若しくは治療方法を検索し、他に治療方法が無いのか探されるべきではないでしょうか?。
特発性腰痛と診断された人たちの中に、私たちのような理療師が触診し、「○○の異常ですョ」と原因を明確にした症例が多くあります。
もし、これをお読みの皆さんの中に特発性腰痛と診断され、現在も腰痛に苦しまれておられる人がおられるなら、一度東洋医学が行なえる治療院を受診されたらいかがでしょう?。参考までに:
僧帽筋とは
うなじから背中にかけて皮下にある筋で、左右合わせると大きな菱形で、体表からは肩を後内方に引くと観察できます。
左右の僧帽筋だけを見ると、お坊さんのかぶる帽子のように見えることから、僧帽筋と呼ばれているようです。
作用は全体が作用すると、肩甲骨を体幹中央に近ずけます。
上部や、下部の一部が作用すると、肩甲骨を回旋(体幹を捻る)させます。
上部の繊維だけが働くと、肩を窄める動作を行ないます。
下部の繊維だけ働くと、肩甲骨を胸椎に近ずけながら引き下げます。
広背筋とは
背中の下半部から側胸部にかけて皮下にある大きな筋で、背中の大部分は僧帽筋と広背筋で占められており、肩甲骨外側から触れられます。
作用は上腕を後下方に引き、内旋(内側二捻る)します。
脊髄起立筋とは
上下に長い筋肉で、外側から、腸肋筋・最長筋・棘筋で構成されており、脊柱起立筋には含まれておりませんが横突棘筋も同様のはたらきを行ないますのでここに添付します。
3筋合わせた脊柱起立筋の作用は、1側が働けば胸腰椎をその側に曲げ、両側同時に働くと脊柱を後ろに反らせます。
横突棘筋とは
上層から、半棘筋・多裂筋・回旋筋で構成されており、作用は1側が働けば脊柱をその側に曲げ、両側同時に働けば脊柱を後に反らせます。
腸腰筋とは
腸骨窩を埋める大きな筋で、大腰筋と腸骨筋から構成されます。
大腰筋は腰椎の椎体(腰椎の前方)と肋骨突起(胸椎側方に存在する肋骨が退化したもの)にはじまり、大転子(大腿骨の内側で肛門付近の位置に相当します)に着きます。
腸骨筋は腸骨窩(腸骨内面)にはじまり、大腿骨の小転子に着きます。
腸骨筋と大腰筋は鼠径靱帯の下で合体し一つの筋となり、大腿前面に出て小転子
に付き、機能的には1つの筋として働きます。
腸腰筋の作用は大腿の屈曲(大腿の前方挙上)ですが、下肢を固定すれば上半身を前に曲げる(腰椎と骨盤を前に曲げる)作用を行ないます。
*上記のことでお判りいただけると思いますが、Hさんが局在性の乏しい痛みを訴えられたのは体幹腔の痛みだったためです。
もし腰部の神経疾患由来の痛みでしたら、体幹外で痛みを感受し、局在性は明確に告げられたはずでしょう。
ですからHさんが姿勢が安定した座位では痛みを感じることが少なく、起立姿勢では背を真っ直ぐにすることが困難だったことがこれでお判りいただけるのではないでしょうか?。
大殿筋とは
殿部にある厚く広い筋で、この表面を覆う皮下脂肪の発達により人の殿部は特有の膨らみを形成しています。
作用は大腿の伸展(正立位姿勢から後方挙上)で、更に腸脛靱帯を緊張させ、膝関節を伸展させて直立視性を維持させます。
中殿筋とは
かなり大きな三角形の偏平な筋で、その大部分(後部)は、大殿筋に覆われています。
膝関節を軽く曲げて、大腿を外転(大腿部の側方挙上)させると触知で着ます。
作用は大腿の外転です。
小殿筋とは
三角形の筋で、中殿筋に覆われています。
作用は大腿の外転(中殿筋の補助)です。
著者プロフィール

兼田 茂和
国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。
WEBサイトの営業電話はお断りしております。