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症状の完治に期間を要する典型的なパターン ⑩
- 2023年05月01日
- 昨秋から症状の完治に期間を要した典型的な症例をご紹介してきました。
幾度も述べさせていただいておりますが、最近の病院やクリニックの整形外科の医師は何故だか触診を疎かにし、映像検査の結果ばかり重点をおいているように思えます。
前回ご紹介した症例も上記のごとく、CT検査の結果から腰部椎間板ヘルニアが下肢痛の原因と診断され、手術したにも拘らず完治が見られませんでした。
患者さんが社会復帰した途端、症状が再発してしまわれました。
それで初めて歩行の悪癖が原因と再度診断士、歩行の矯正を図ろうとリハビリ病院を紹介
したようですが、医師の意に反し旨くいかず、鎮痛剤で対応したようでした。
結局当院の治療で悪癖の矯正が図られ、鎮痛剤の服用を止められたのでしたが、手術してリハビリ病院に通い、鎮痛剤を服用されていた期間が無駄に過ごされたことになります。
今回ご紹介する人の症例は、病院の医師に「これは治すことができない」と言われた人が、頻回の腰痛に耐えて生活されていたと言うお話です。実例10: 医師に治療を断られた人
Iさん四十一歳女性は、家業の酒類販売店を営んでおられます。
当然お酒を扱われているため、重量物の運搬も常にされ、腰痛のため鍼灸治療が欠かせません。
腰痛の原因は重量物を持つ仕事のためだけではなく、若い頃からの側弯症のため、何もしなくとも一方の側の腰に痛みを生じさせておられました。
ご紹介くださる人がおられ、当院を訪れられたのは今春でした。
実はIさんは当院を受診する前に鍼灸院に通われておられたのですが、受診を希望する日が鍼灸因果休診日だったため、仕方なくと言う感じで当院を受診されたようです。
主訴は「頸肩部と腰の痛みを診てほしい」と言うものでしたが、そもそも何故側弯症を放置しておられるのか不思議でした。
Iさんは高校卒業後、腰痛を診察してもらったクリニックで「若年者なら治せるけれど、貴方は無理」と告げられたとおっしゃいます。
当該医師はただ背腰部のレントゲン撮影だけで「側弯症を起しているけど、治療はできない」と判断したようで、鎮痛剤の処方を告げたようですがIさんは拒否されたようです。
それを聞いた私は釈然としない思いを抱きました。
何故ならIさんの右足は膝関節が完全伸展できず、ベットと膝裏との間で約3cm程度隙間を開けているからで、これが側弯症の原因と判断できるものだったからです。
当然右足は左足に比べ5cm程度短く、これで立って歩こうとすると右肩が下がる格好になります。
これは側弯症の原因が脚長差であるのを照明するもので、右膝関節の可動域が正常化できれば、側弯症の解消が図られるはずだったからです。
ですからIさんの右足の膝関節の可動に関わる諸筋肉の緊張緩和を図り、幾度かの運動法により正常な関節可動域が回復し、左右の歩幅が同じになったことで側弯症の原因が取り去られました。
立って姿勢を確かめていただくと、「何か変な気分」とそれまでとは明らかに違う視線の違いを覚えられたようでした。
その後、まだ側弯症のために過緊張を余儀なくされていた左側の脊柱起立筋群の緊張緩和を図り、脊柱矯正術で側弯症の整復を果たしました。
更に主訴の頸肩部の過緊張した諸筋肉の緊張緩和を図ったことで、Iさんは「ワァー 全部治った)と小踊りせんばかりに喜ばれましたが、しかし難問が残ってます。
右足を短くさせる歩き癖がまだ解消されてませんので、Iさんにはできるだけ大股を意識して歩いていただくことにしました。
「もう大丈夫」と私が判断したのは数週間後で、二度ほど歩きの悪癖のため右膝関節の可動域を回復させたのですが、二度目以後は再発させられませんでした。まとめ:
特筆すべきは何故、当該医師は側弯症の原因を見落としたのかです。
それと何より「治せない」と判断するのなら、何のためにレントゲン撮影を行なったのかです。
上述しましたように、最近の医師は触診を殆どせずに画像検査だけに頼り、主訴の患部だけに視線を置くようです。
仮に診察をしようと患者をベットに寝させ、両足を伸ばさせたなら左右の足に脚長差を生じさせていることが判るはずです。
ところが当該医師はレントゲン撮影だけ行い、ご本人が認識しているにも拘らずレントゲン写真を見せ、側弯症と診断した後「これは治せない」と言い放ったのです。
これは明らかな誤診ではないでしょうか?。
Iさんはその言葉を信じ、20年以上腰痛に耐えてこられたのですから、真にお気の毒としか言えません。
当該医師は私の知る病院の非常勤医師だったようで、おそらくIさん以外にもこのような診断を患者に告げていたかもしれません。
さて、Iさんが左右の足に歩幅が違う歩きをされていた原因は十九歳のとき、転倒による足関節(足首)捻挫のためで、右足を庇う歩きが癖になっていたようでした。
そのため左右の足に歩幅に差異が出て、右膝関節が完全伸展できずに過ごされたため、立位姿勢では右肩が下がる側弯症をきたされたようです。
つまり悪癖の根源を取り去れば側弯症が治ったのですから、せめて当該医師が「私は(又はここでは)治せない」と告げたなら、結果は違ったものになったのではないでしょうか?。
セカンドオピニオンと言う言葉が知られるようになって、殆どの人がご自分の意に沿わない告知を受けても、もっと他の医療機関を受診されるようになった今日。
Iさんもそのようにされていたなら、永年腰痛に悩まされずにすんだと思える症例でした。
著者プロフィール

兼田 茂和
国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。
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