滋賀県、腰痛治療

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症状の完治に期間を要する典型的なパターン ⑫

2023年07月03日
先月まではかかった病院やクリニックの医師に完治に否定的な言葉や、患者さん当人が意味不明と感じられる言葉を告げられ、結果、無駄に時期を要してしまわれた症例をご紹介してきました。
先月は運動痛のため歩行が困難だったのに、「治療は痛みが消えてから」と告げられた人のお話でした。心配されたお子さんが当院を検索され、私が診察して痛みの原因が腸骨の開きに左右差があることをつきとめ、矯正が図れたことで運動痛の消退を果たされました。
もし当該患者さんが医師の告げた言葉通り痛みの消えるのを待っていたなら、自然に骨盤の左右差が治らない限り、おそらく今でも運動痛が消えてなかったでしょう。

今回ご紹介する症例は、医師が「これぐらいなら放っておいても」と自然治癒が見込めると診断したのにも関わらず、意に反して完治に期間を要してしまわれた人のお話です。

実例1:バイクで転倒


東近江市在住、当時三十四歳女性のMさんは、建築資材販売店勤務で事務のお仕事をされてました。
ミニバイクで通勤途中、左路側帯付近を走行しておられたMさんが信号の無い交差点で、右側を並走していたワゴン車が突然、左折のためウインカーを出して幅寄せしてきました。
Mさんは衝突を避けるため、左側の歩道にハンドルを切られました。
ご存知のように、歩道は車道よりも少し高くなっています。ですからタイヤの小さいミニバイクのこと、段差を乗り上げられるはずも無く歩道上に左肩から転倒されたようでした。
被っていたフルフェースタイプのヘルメットのおかげで顔面に怪我をすることも無く、重症には至らなかったわけですが、全く怪我をせずには済むはずはありません。
救急病院に運ばれ種々の検査の結果、左側前腕の擦過傷と同側の股関節周辺と肩関節周囲から肘にかけての打撲を受けられたようです。
腕の擦過傷が治癒して股関節辺りの痛みが違和感程度にまで回復した頃になっても、肩から肘にかけての疼痛が治らず、殆ど動かすことができないことから当院を訪れられました。

実例2:信号待ちで転倒


Sさん四十六歳は勤務で移動中、片側三車線の道路の交差点で信号待ちをしておられました。
左側に後から並んできた人のキャリーケースを避けるため、一歩右に寄ろうとして段差に躓き、バランスを崩され「上半身が車道に傾いてしまった」とおっしゃいます。
運悪く左折してきた小型トラックの荷台に右肩が接触し、路側帯に上半身から転倒されました。
主な損傷部位は右側顔面の裂傷と頸部捻挫と右半身の打撲でしたが、頭部を打撲している可能性も有るとのことで、CT検査もされたようです。
しかし幸いにして脳には異常が無く、頸部の鞭打ちと右肩関節付近の打撲と診断されたようでした。


以上のようにお二人とも骨折などの大きな損傷部位は見られず、その後の詳しい検査でも異常が見られなかったことから、「痛みは日にち薬」などと言われ、受傷当日に帰宅されたようです。
後日、まだ残存する痛みを訴えても、湿布剤と鎮痛剤の処方だけだったようです。
一ヶ月を過ぎてもMさんは左肩関節の自発痛と運動痛、Sさんはもっと重篤で肩周辺から肘にかけての灼熱痛と少しの動きでも運動痛を生じられ、何れの患者さんも休業を余儀なく去れてました。
この病態を反射性交感神経性ジストロフィーと言い、通常 RSD(reflex sympathetic dystrophyの略)と呼ばれていますが、そのメカニズムは後述させていただきます。

RSDは外傷などの不完全の末梢感覚神経の損傷の後に障害神経の支配部位を越えて、灼熱痛(カウザルギー)を特徴とした慢性の疼痛が生じ、皮膚温低下、浮腫などの血管運動障害や、それに引き続いて筋萎縮、皮膚、爪の退行性変化や骨粗鬆症などの栄養障害をきたす病態です。
加えて運動麻痺、不随意運動など運動系の障害を伴うこともあります。西洋医学では、交感神経節ブロックの静脈潅流などの交感神経遮断が施されることが多く、その診断の根拠ともなるようです。
しかし長期的予後は必ずしも良好ではなく、重症例では筋は進行性に萎縮し、皮膚・骨は退行性に変性します。それが前述の注射でも緩和できずに我慢を余儀なくされておられたのでしたが、ご紹介いただいた人がおられたようで当院を来院されました。
何れの患者さんも受傷して暫くしての来院でしたので、受傷当初の外傷は見られませんでしたが、長期間症状を我慢されてこられたのが筋肉の萎縮などから明確に触知できました。
多くの患者さんは症状を起している側の腕や足を使おうとはされず、健康な側の上下肢で用をこなし、患側の上下肢はじっとした姿勢を保ち、必要最低限の動作で過ごされることが多いようです。結果、筋肉は廃用性萎縮にいたることも珍しくはありません。

何れの患者さんも痛い側の上肢を動かそうとはされず、病院に出かける以外はご自宅で過ごされ、その側の筋肉はそうではない側の腕の筋肉と比べ萎縮傾向を示しておられました。
健康な側の筋肉はと言うと、受傷側の身体活動を庇うために過緊張が余儀なくされ、緊張を重ねて腫脹にまで至っておられましたので、その部の治療を優先しました。
更に後者の患者さんは頸部捻挫の後遺症も存在しておられましたので、その治療も行ないながらの半身治療を行ないましたが、頸部の通常の可動が確保されたことにより、徐々に痛みや違和感の減少を見ましたが、体位変換の時は受傷側の上肢の痛みを抑えるのに苦労しました。
両者の患者さんも利き腕側の肩関節から肘までの痛みを訴えられておられましたが、Mさんは頸肩背部の治療で初日から徐々に肩関節の可動域が広がりましたが、Sさんは中程度の圧で触ろうとしても痛みをお感じになられるため、軽い刺激から根気よく治療を重ねる必要があり、Mさんよりは少々お時間をいただくことになりました。
長く可動性を失っておられた動作筋肉は徐々に弾力を取り戻し、僅かながら可動域の回復を見ましたが、やはり関節の伸展よりも屈曲のほうが期間を要しました。
両者の患者さんとも肘関節の可動域がほぼ正常な状態の時点で、Mさんの肩関節の可動域が80%以上で職場復帰されたのでしたが、Sさんの場合はこの時点では無理でした。
Sさんの肩関節可動域は前方挙上50%、側方挙上50%、後方挙上30%程度でしたので、日常生活はそれほど苦労は無かったようでしたが、まだ社会復帰は無理です。
更にもう少し通院していただく必要があり、Mさんよりも凡そ二ヶ月の通院を余儀なくされたのでしたが、結果として病院で湿布剤と鎮痛剤投与だけの治療よりは、社会復帰が早かったのではないでしょうか。

反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)のメカニズム


末梢神経が傷害により絶えず刺激され、体性感覚神経線維(主にC線維)を介して求心性神経伝達(末梢から中枢へ)が脊髄介在ニューロン群に入ります。
その閉鎖回路内で自己を強化する形で反射性異常を生じ、この神経伝達脊髄側索の神経細胞を刺激し、交感神経遠心線維(中枢から末梢への線維)を持続的に興奮させる病態が考えられています。
注意:
ここで言う中枢とは頭脳のことで、末梢とは感覚器(例えば筋肉など)のことを言います。

まとめ


私の行なう治療とは、可動域が狭まった関節を無理に動かそうとするものではなく、当たりの柔らかい揉捏法や軽擦法を用い、血流促進を図ろうとするものです。
ご存知かもしれませんが、血管内には神経伝達物質(一般的にはホルモンと言います)が存在し、受傷箇所で血流滞留が起こると神経伝達物質が溜まってしまいます。
溜まった神経伝達物質は、脳に対し受傷箇所を指し「ここが怪我をしてますよ」と言うように痛みを脳に伝えます。
それを私が手技で血流促進を図ることで、痛みの感じ方(或いは程度)を抑えるのです。更に関節の可動域を妨げている筋肉の凝りなどを解し、徐々に関節可動域の回復を図るものです。

今回ご紹介しましたお二人は来院された時期は異なるのですが、事故による外傷と言う共通点から、比較対象として記載したものです。
前者は比較的スムーズに、後者の患者さんは完治に比較的に時間を要した症例と言えるもので、殊にSさんの場合カウザルギーを生じておられましたから、日常生活の質も下がっておられました。
何れの患者さんも痛みに対して過剰なほど過保護になられ、僅かでも関節活動を抑えようとされた結果、運動痛や浮腫を生じておられました。更にMさんは軽度でしたが、Sさんの場合受傷箇所より離れたところにまで熱間を感じておられ、更衣や洗髪、結帯動作も困難で、生活の質は著しく低下しておられたため、体幹の筋肉にまで廃用性萎縮をきたされてました。
しかし何れの患者さんも完治が図れたのですが、それは何と言ってもご自身が「絶対に治そう」とご努力された賜物でしょう。

今回ご紹介しました患者さんは完治が達成できた人の一例ですが、それに至らなかった症例も少なくありません。
と言うのは、或程度症状が回復して帰宅されても、私が指示した事(多くは運動)を怠け、次回の来院時でも先の来院時と同様の状態から抜け出せてなかったり。又、その人の回復具合に合わせて次回の来院日を設定するのですが、それを翌日にキャンセルされたりと言う、治療に消極的としか思えない行動を取られる人もおられるからです。
その多くは二から三回通院し、「これは簡単にはいかないな」とでも思われるのでしょうか、以後の予約を取られず、「また電話します」と言って帰宅されます。それで当院との繋がりは切れ、他の医療機関を受診されたのか、もうお越しにはなられません。
治療を中段、若しくは最初から依頼もされない人の多くは年配者が多いようで、働き盛りの人では「絶対に治そう!」と言う心構えが違うように感じられます。

著者プロフィール

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兼田 茂和

国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。

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