滋賀県、腰痛治療

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症状の完治に期間を要する典型的なパターン ⑬: 慢性腰痛とギックリ腰 Ⅰ 

2023年08月01日
昨秋から何らかの理由で、症状の完治に期間を要してしまわれた人の症例をご紹介してきました。
その理由は様々で、自覚されていた症状を自己判断で放っておいたため悪化したとか、受診したクリニックで主訴の箇所のみ診察され、症状の根源を見逃された人もおられました。
と言うのは最近の医師は触診を疎かにし、画像検査のみ重点を置いて診断する人が少なくないからで、結果 投薬治療で対処されたため、完治に至らなかった症例を多く診てきました。
先月の症例も怪我による症状を担当医師が「日にち薬」と判断してしまったため、後遺症となって長期間身体活動が制限され、筋肉が廃用性萎縮してしまい、日常生活にも不自由されてました。
ですから私の治療も簡単には済まず、腫れ物を触るがごとく、当院の治療の中でも比較的期間を要することになったわけです。
今回のお話は腰痛を発症させられる最もポピュラーな疾患で、一般的に言われる[ギックリ腰]と呼ばれる症例です。
「何だ! そんな症例か?」とお思いになるかもしれませんが、それがなかなか厄介なのです。
腰痛の原因がはっきりしているものは少なく、ご存知のように腰部椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・腰椎分離辷り症や腰椎圧迫骨折が挙げられます。
ところが以上のような疾患は、全ての腰痛の中では約15%程度を占めていると言われております。
つまり残りの85%は特発性腰痛と言い、ギックリ腰に代表されるような原因が明らかでない腰痛なのです。

実例: 前屈姿勢でグキッ


Oさん五十五歳女性は、朝食の容易のため、キッチンの下の収納扉から食器を取り出そうとされました。
開かれた扉の奥に手を伸ばそうとした瞬間、「グキッ」と音を尻の辺りで聞いたとおっしゃいます。
Oさんはその瞬間から動けなくなり、キッチンの天板の端を掴み大声で助けを呼んだそうです。
ご家族の助けを受け、最寄の整形外科クリニックを受診し、医師から「二~三日安静にするように」と湿布と鎮痛剤の処方を受けられて帰宅されました。
帰宅されてもじっとしているわけにも行かず、トイレに行くのも、食事を摂るのも起き上がらねばなりません。
勿論、食事の仕度はOさんの仕事です。
ですからベットで寝て起き上がろうとする際の痛みを考慮し、普段はダイニングの椅子に座って過ごされ、食事の仕度も腰痛に耐えながら行い、トイレに行く際は膝に手をあてて移動されてました。
その都度鋭い痛みを腰に受け、「鎮痛剤が尽きたから」と再びクリニックを受診しても再度投薬治療と安静を指示されたようでした。
家人の勧めで鍼灸院を受信されたのですが期待したほどの効果が無く、今度は接骨院を受診されました。
そちらでは電気治療に加えテーピングで腰の固定をされたようですが、料金が安価だったこともあり数週間通われ、痛みの感じ方が鈍くなったことで治療を終了されました。
ところが或る朝、ベットから起き上がろうと足をベットから降ろそうとされた際、受傷当初の鋭い腰の痛みを感じられました。
それで今度はもっと大きい総合病院の整形外科を受診され、レントゲン検査により第三腰椎がやや右にズレていることが判明したそうです。
そちらでは鎮痛剤の投与に加え、腰部にコルセットを装着するようにと指示されたようです。
結果、痛みを感じる強さは弱くなったようですが、コルセットを外した生活ができなくなってしまわれました。
それでやっと私の出番です。
「このままではいけない!」と思われたご主人がネットで検索され、「腰痛治療ならここだろう」と当院を受診されました。
問診の結果から、実はOさんは酷いものではなかったようなのでしたが、受傷前から原因不明の腰痛を感じておられたようです。
以下は問診で得られた情報です。
学生時代はバスケットをされておられたようで体力には自信があったようですが、就職されてからはスポーツをされることも無く、会社で事務仕事に従事されてました。
それで筋力が低下したのか背や腰に異常な張り感を覚え、風呂あがりに市販の湿布薬を塗っておられたのでしたが、歳を増すごとに痛みも感じることが多くなったようです。
それでも整形外科などは受診されず、専ら鍼灸院で対応されておられたようでした。
触診で得られた結果から、長期間姿勢の維持をコルセットに頼られていたOさんの腰椎直側の諸筋は廃用性萎縮の呈を成されてました。
背や腰の骨はと言うと、腰椎はコルセットで固定してましたので真っ直ぐですが、その上野胸椎は前傾姿勢が長かったため前方に倒れてます。
更にズレている側とは反対側(左側)の殿部と下肢の諸筋肉は著しい過緊張が見られました。
つまりOさんは立位や歩行の際、痛みを抑えるために左側に重心を取られていたことが推察できます。
治療は脊柱直側の諸筋を緩ませ、上位にあたる胸椎(全部で12個存在します)の矯正を図ることで腰椎上位の関節の隙間に余裕を与えられました。
結果、腰椎の脊柱矯正が図れたことでズレが整復され、脊柱の自然なカーブが取り戻せました。
更に過緊張を余儀なくされていた左側の殿筋と下肢の緊張緩和を図り、立位姿勢で腰痛の有無を確かめていただき、今度は歩行時の痛みや違和感を確かめていただきました。

まとめ


何度も述べさせていただきましたが、正常な人の姿勢は横から見るとアルファベットのSの字をしております。
頚椎から胸椎に以降すると骨は前方に張り出し、腰椎に至ると最大限に前方に突出します。
それが仙椎に達するところでは今度は後方に張り出し、頚椎から仙椎をトータルすると緩いアルファベットのSのように見えるのです。
これを身体の自然なカーブと呼び、この形が崩れると酷いものでは脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアをきたすわけです。
上記のような疾患に至らずとも、身体のカーブが正常なら、胸腰椎の直側の諸筋肉はそれほど筋力は必要ありませんが、保たれないなら筋肉は過伸展を余儀なくされます。
過伸展が余儀なくされた筋肉は、身体活動時の筋力発揮の際は正常時に比べ更なる負荷が罹ってしまいます。
これが痛みとして脳に伝わるのです。
Oさんは机上のお仕事で椅子に座る時間が長く、前傾姿勢を余儀なくされたことで身体の自然なカーブが崩れたのでしょう。
この姿勢が慢性化し、常に過伸展を余儀なくされた胸腰椎直側の諸筋肉は筋力低下をきたし、萎縮傾向に達した筋肉は緩むことを許されずに常に硬く張っていたのです。
以上のことが受傷前のOさんの状態で、充分に筋力が発揮できない腰椎直側の諸筋肉が、物をとろうと背を屈めた際の腰椎のズレを食い止められなかったのです。
慢性化した腰痛のために通われていた鍼灸院の治療では、過伸展を余儀なくされた腰椎直側の諸筋の緊張緩和が少し図れますが、腰椎を整復するものではありません。
次に通われた接骨院でも同様です。
総合病院での治療は保存療法と言い、現状からそれ以上症状を悪化することを防ぐのが目的で、コルセットの装着は受傷期では頗る有効ですが、長期の使用では筋肉は弱体化に陥ります。
それでも腰椎の固定が或程度可能なため、腰痛を最小限まで抑えられるので、Oさんが長期間使用されたのは無理もありませんでした。
以上のことでお判りいただけたでしょうか?。
ですからOさんのこの状態は典型的なギックリ腰のメカニズムと言えるでしょうが、これを防止するには、早い段階から立位姿勢での身体の自然なカーブの整復が必要だったと言えるでしょう。
Oさんは仕事の合間や休憩時に立ち上がり、背を反らして胸腰椎直側の筋肉を緩ませ、自然なカーブが失われることを防ぐことが必要だったのです。
不幸にも自然なカーブが失われた状態が慢性化してしまっても、整復する手段は残っています。
それは脊柱矯正が図れるクリニックや治療院を受診することです。
注意:脊柱とは、上位から頚椎・胸椎・腰椎・仙椎を柱に見立て、表した医学用語です。
もっと酷いギックリ腰の違った症例が幾つかありますので、次回も症例をご紹介したいと存じます。

著者プロフィール

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兼田 茂和

国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。

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