滋賀県、腰痛治療

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慢性腰痛とギックリ腰 Ⅲ : 姿勢を正せない 足が上げられない → 早く歩けない

2023年10月02日
8月から腰痛を発症させられる最もポピュラーな疾患として、慢性腰痛の症例をご紹介しております。
先月は慢性的な腰痛を自己流の治療で治そうとされたのですが上手くいかず、更に症状を悪化させて夕刻に近づく頃には段々立っていられなくなった人をご紹介しました。
その人も身体の自然なカーブを失った結果に生じた疾患でしたので、当院の治療で整復が成されて完治を見たという症例でした。
今回の症例は腰痛の自覚は無いのですが、若い頃から現在まで行なっていた競技のため正常な歩行が崩壊してしまった人のお話です。

実例: ノシノシとしか歩けない


Eさん四十三歳 男性は地方公務員で、若い頃からずっと柔道をされてます。上記のことで判断できると思いますが、ご職業は皆さんがお考えのその御職業です。
ですから柔道をされていたことが幸いして、学校も以後のお仕事にも充分に役立ったようでした。
しかしそれが災いに転じてしまったのは、四十歳を迎えようとした頃でした。それは上司に指摘され、はじめて自覚されたようでした。
朝礼で整列した際、Eさん一人だけが若干前傾した姿勢で立っていたとか、歩行が他の人よりもゆっくりで、ノシノシ歩くとかを指摘されたようです。
更に階段昇降では特徴的な足使いをされてたようで、「何が変だろう?」と他の人と比べれば、ご自分の異変にはじめて気がつかれたようでした。
階段を上る際、左右に体を揺らしながらでないと足が上げられず、無理に膝を持ち上げようとすると腰から尻に痛みを感じ、更に太腿の後ろ付近に張りを感じられたようです。
更に職務で駆け足を余儀なくされれば、その太腿の張りがまるで痙攣したように電撃のような刺激を感じてしまわれ、「これは絶対におかしい!」と当院を受診されました。
他の異変では、Eさんは仕事柄革靴を履くことが多く、何故か靴裏が踵のところばかり擦り減るのでした。ですから両膝は完全伸展できず、脹脛が常にパンパンに張り、足関節(足首の関節)の可動域制限が著しく、私が無理に動かそうとしても殆ど動きません。
上記のことで中位から下位腰椎に問題があることが判明し、一般に言われる坐骨神経痛であることが判りました。
治療は過緊張が余儀なくされた脊柱起立筋・殿筋・ハムストリングスの諸筋・下腿三頭筋の緊張緩和を図ろうとしたのですが、圧痛が厳しく相当に時間を要しました。
結果、ベット上では股関節・膝関節の完全伸展が可能になり、ご本人は「何か足全体の力が抜けたようで軽く感じられる」とお喜びになられ、ご本人は「これで普通に歩ける」と思われたようですが、それは糠喜びでした。
ベットから降りられ歩きを確認したのですが、何故だかEさんは床に足裏を擦り付けるように歩かれます。ですから椅子に座った状態で下肢の諸筋肉を触診すると、殆どもとの悪い状態に戻ってます。
「これは歩行に問題がある」と考えた私は、先に身体の自然なカーブを取り戻すことを優先しました。
それで脊柱矯正を試みてもう一度下肢の諸筋肉の緊張緩和を図り、身体の自然なカーブが取り戻せたのを確認し、今度は手すりに掴まった状態で足踏み運動を行っていただきました。
最初こそぎこちなかった足の動きも次第に滑らかになり、今度は手すりを離して腕を振ってできるだけ高く膝を上げた足踏みをお願いしました。
それが可能になったことで「これなら大丈夫」と治療を終了したのでしたが、そうは問屋が卸さなかったようです。
次回の来院時には初診ほどではありませんでしたが、前傾姿勢が戻り、まだ若干左右に体を揺らした足の運びをされてます。と言うことで再び脊柱矯正で自然なカーブを取り戻した跡、下肢の諸筋肉の緊張緩和を図り、手すりを掴んだ踏み足運動から行なっていただきました。
原因は後述させていただきますが、どうやらEさんの歩きが前述の身体の格好をさせていたようで、更なる改善を果たすには少しハードルが高かったのです。
完全にEさんの歩行が改善され、下肢の諸筋肉の過緊張が再発せずに済んだのは初診から一ヶ月を過ぎた頃でした。
但し、再発の危険性が完全に拭えたわけではありませんので、毎日の踏み足運動を日課として現在も行なっていただいております。

まとめ


Eさんは中学生から大学まで柔道をされていたわけですが、高校生の頃に指導者から競技中に足を払われても大丈夫なように、常に足裏を畳に密着させる歩きを指導されたようです。
以来Eさんは指示された通り、ランニング以外の足運びでは膝を上げない擦り足歩行を常にされ、柔道競技ではメキメキ腕を上げられたのですが、現在はそれが災いしたようです。
この歩行が常態化したため膝関節を完全伸展させることが少なくなり、前後のバランスを取るため腰椎が前屈を余儀なくされてしまわれました。
これは身体の自然なカーブが崩壊してしまったことになります。
Eさんの身体、殊に下肢は大腿四頭筋は或程度発達しても、膝蓋腱は硬く張り、膝蓋骨(膝の皿)の動きが制限され、膝関節の完全進展ができなくなってしまわれました。
つまり膝関節の屈曲に関わるハムストリングスの諸筋肉は、常に過緊張を余儀なくされることになります。
※ハムストリングスとは
大腿の後側にある筋で、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋があり、全て、坐骨神経に支配されています。大腿二頭筋の短頭は大腿骨の粗線外側唇から起始していますが、その他は全て骨盤の下端である坐骨結節より起始し、股関節と膝関節を超えて下腿の骨に停止します。
主として股関節を伸ばし、膝関節を屈曲する働きをします。この3筋は、機能的面からハムストリングス(膝関節屈曲筋群)と呼ばれています。

Eさんのハムストリングスの諸筋肉の起始部、殊に半腱様筋と半膜様筋の起始部付近では異常な張りが生じ、膨隆と言っても良いぐらい膨らみ、その先は逆に伸縮ができないぐらい伸びきっています。
ですからEさんが階段昇降で足を無理に上げようとした際、上記の部で痙攣のような電撃痛を感じられたのです。
腰部は膝関節が完全伸展できないことで、身体のバランスを取るため無意識に前傾が余儀なくされ、腰部の諸筋、殊に腰部脊柱起立筋の伸展が常態化してしまわれたのです。
結果、力を失った脊柱起立筋は業務での整列時でも背を正しくできず、Eさん一人だけが前傾姿勢をされていたのです。
どうすればEさんがこのような状態に陥らずに済んだかかと言うと、TPOを明確にし、競技や練習時のみ指導された歩を心がけ、それ以外の歩行時は正常な足運びに専念すべきだったでしょう。
それでも「それでは強くなれない」と言われれば、私は言い返す言葉はありませんが。

著者プロフィール

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兼田 茂和

国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。

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  • 腰痛の原因になる歩き方

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