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慢性腰痛とギックリ腰 Ⅴ : 腰が重たい + 前に屈めない
- 2023年12月04日
- 8月から腰痛を発症させられる最もポピュラーな疾患として慢性腰痛とギックリ腰の症例をご紹介しております。
先月は建設現場で立ち上がり時に腰に違和感を感じ、歩行と同時に鋭い腰痛を感じてすぐにそれが消え、今度は腰に持続的な重量感が、階段降下時にそれが増したという症例でした。
起因となる身体状況は腰椎の柔軟性の欠如と、直側の諸筋肉の弱体化でした。
そのため腰椎と胸椎の一部が前傾姿勢から起立姿勢に移行する際に、僅かにもとに戻らなかったのが原因でした。身体の自然なカーブが僅かに失われたことで起こったその症状は、当院の脊柱矯正術で完治が見られました。
今回ご紹介する症例も起因となった身体状況も、発症原因も似たものですが、ご本人の自覚される不快な症状が全く違うと言って良いものでした。実例: 腰が重い 前傾姿勢ができない
Gさん当時四十一歳は大手スーパーで警備の仕事に就いておられました。
前職は調理のお仕事をされておられたのでしたが、コロナによる度重なる休業要請の皺寄せで退職を余儀なくされ、致し方なく転職をされたようでした。
身体状況は前職から健やかとは言い難く、特に腰に不安を抱えておられたのでしたが、それを隠しての転職でした。
当然医療機関に係られておられたのでしたが、レントゲン検査で明らかな異常が見つかっても治療方法が見つからず、対処療法で過ごされて来られたようです。
その対処療法とは、患部への湿布と鎮痛剤の服用でしたが殆ど効果が無く、下記のような症状を堪えての転職でした。
警備の業務の殆どが立ち仕事で、開始から1時間までは平気でも、以後徐々に腰の重量感が増して、特に腰を曲げる動作時に痛みとまでは言えないまでも立位姿勢に不安定さを隠すのに苦労されておられました。
当院を受診されたのは一年前で、どうやら同僚や上司に腰に慢性的な不安を持っての転職がバレそうになったことでの来院だったようです。
まず眼についたGさんの姿は両側の膝関節が完全伸展できず、殊に右膝関節は左側に比べ1.5倍ほど屈曲傾向を示しています。
このため右足の長さが約3cmほど短く、立位姿勢では脊柱が右側弯を呈し、更に下位胸椎と全腰椎が後方に飛び出しています。
筋肉はと言うと、立位姿勢を維持するための脊柱起立筋は左側が硬く張っており、身体が側弯していても転倒を避けるために過緊張を余儀なくされています。
治療は硬く張っている脊柱起立筋や膝関節の可動に関わる諸筋肉の緊張緩和を図り、次いで脊柱矯正により側弯や後方突出した胸腰椎を整復しました。
更にその後、胸腰椎や股関節、膝関節の柔軟性の回復のため種々の運動法を繰り返し、約三ヵ月後には自然な身体のカーブが維持できるようになりました。
勿論その頃には身体の不安定さの解消が果たされ、腰の重量感のような不快な症状も無くなり、前傾姿勢も平気な状態まで回復を見たわけです。まとめ
まず特筆すべきはGさんの前職ですが、調理師と言う仕事柄包丁を握ることが多く、まな板に包丁を押し付けなくてはならないため、右膝を僅かに曲げなければなりませんでした。
そのため右肩を下げる姿勢が固まり、胸腰椎が側弯してしまわれたようでした。
更に身体の不安定さを増した原因として履物に問題があり、足の蒸れを避けるために下駄を履いておられたようです。
結果、上体を前に懸けた際に足関節が底屈し、転倒を避けるために常に両側の膝を屈曲気味にされたことがGさんの身体状況の悪化に繋がったようです。
※足関節の底屈とは
足関節=足首を脛の側に曲げることを背屈と言い、足裏側に曲げることを底屈と言います。
ですからGさんは包丁を使わないときでも前傾姿勢を余儀なくされ、その状態を維持するための膝関節屈筋群(ハムストリングス)は常に過緊張を余儀なくされておられました。
当然上半身(胸腰椎)も屈曲傾向が常態化されることになり、力を失った両側の脊柱起立筋は仕事を終えても姿勢を正しく補正できなくなっておられました。
通院頻度は週に一度でしたが、Gさんにはできるだけ前方に顔を向けて大股で歩いていただき、時々の立位での背屈運動をお願いしました。
と言うのは大股で歩く際、人は自然に姿勢を正して歩くためで、大股で歩いている人が背を丸めて足元を見ながら歩き難いからです。
通院回数が6回を過ぎる頃には背腰部の脊柱起立筋も大殿筋も筋力が増し、反対にハムストリングスの諸筋は膝関節伸展時には弛緩が果たされ、10回を過ぎる頃にはご自分の筋力で前傾姿勢からの補正が充分に可能になりました。
「これならもう大丈夫!」と判断したのは、脊柱起立筋と大腿四頭筋の発達が見られた頃で、Gさんご本人も前傾姿勢に不安を持たれなくなった頃でした。
著者プロフィール
兼田 茂和
国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。
WEBサイトの営業電話はお断りしております。