滋賀県、腰痛治療

新着情報

慢性腰痛とギックリ腰 Ⅵ : 足を伸ばして寝られない + 普通の歩幅で歩けない

2024年01月04日
一昨年の秋から腰痛疾患の症例をご紹介してきました。
昨春までは何らかの理由で治療が長期化した症例を、前回までは特発性腰痛と呼ばれる一般的な症例をご紹介してきました。
前回の症例は背腰部が側弯し、不安定な足元で作業されたことが災いし、背腰部や脚部の筋肉が弱体してしまわれた人のお話でした。幾度かの脊柱矯正とご本人の努力により約三ヶ月で完治を見ましたが、以後も姿勢に気をつけて生活していただいております。
これまでにご紹介してきました症例は何れも完治に至った人のお話でしたが、当院を訪れられた患者さんの中には自己判断で治療を中断され、自覚症状が酷くなったら再来院される人もおられました。
完治=治しきる を目指さない人の中には通院距離を問題にされる人がおられるのですが、そのような人には治療効果を持続させる方法も指導しておりますのでご相談ください。
さて、今回ご紹介させていただく症例は、以前から肩凝りを感じておられた人が或日、腰を屈めた際に腰痛を感じて以来腰が伸ばせず、前傾姿勢で普通の歩きができなくなってしまわれた人のお話です。

実例:腰痛+膝を伸ばして寝られない+ペンギン歩き


Yさん四十三歳は、隣県で観光協会で勤務されておられます。
主な業務は宣伝活動で、ホームページの作成や旅行会社に配布するPR用パンフレットの作成などに携わっておられ、電話などでの応対もお仕事のようです。
ですから机上のお仕事が多く、慢性的に肩凝りによると思われる眩暈なども時々感じておられたようでしたので、数年前までは整形外科に通われていたそうでした。
下半身に症状を感じられたのはPR用の写真を撮りに良かれ多際で、姿勢を屈めた際に腰の辺りに鋭い電撃痛のようなものを感じられたようです。
その後のYさんは腰が伸ばせず、お尻を突き出した前傾姿勢でそろそろ歩き、鍼灸院に駆け込まれたのでしたが完治に至らず、もとの整形外科を受診されました。
そちらでは画像検査で中位腰椎由来の神経痛と診断され、ベット上で仰臥位で腰の牽引治療を受けておられたのでしたが日を重ねても改善が見られなかったようです。
当時からYさんの生活の質は著しく低下し、以前は活動に適した機能的な服装を好まれていたのでしたが、体型を隠すようなゆったりとしたロングスカートを選択するようになられました。
歩行は大きく足を踏み出すことができず、10cm程度の歩幅でチョコチョコ歩きが余儀なくされたようでした。
当然姿勢の悪さから肩凝りも酷くなり、腰が伸ばせないことから股関節や膝関節周辺にまで痛みを感じるようになられました。
しかし幸いにして股関節や膝関節の治療は鍼灸院の治療でも効果があったようでしたが、頻回の通院を余儀なくされたようです。
結果「このままではいけない」と他の治療法を探し、接骨院や整体も通われたのですが[焼け石に水]だったようです。
それで遠方でしたが当院を訪れることを判断されたようです。
前述のようにYさんの姿勢は腰が伸ばせず、お尻を突き出したような前傾姿勢で股関節と膝関節が完全伸展できず、ご本人が力を抜いても完全伸展が不能でした。
ですから下肢の治療を優先し、硬く固まった殿筋と大腿部の諸筋肉を緩ませ、側臥位姿勢では両関節の完全伸展が可能に至りました。
机上のお仕事が大半のYさんの上半身は柔軟性が失われ、頚椎はストレートネック(現在はスマホ首と言うようですが)を呈し、首の可動に関わる諸筋肉は体型からは想像もできないほど腫脹をきたしています。
背腰部はと言うと、上位から中位胸椎は後方に大きく飛び出し、下位胸椎から下位腰椎まではそれよりは小さく後方に飛び出していました。
ですから伸展が固定させられた直側の筋肉は緩むことを許されず、廃用性萎縮と言っても過言ではないほど痩せ細っています。
数種類の揉捏法を繰り返し、50%程度の柔軟性が取り戻せたことで腹臥位姿勢が可能になり、圧力を増した揉捏が可能になったことで脊柱矯正が可能になりました。
80%程度まで自然なカーブが取り戻せたことで、痛みが違和感程度にまで改善できたところで運動法を試み、ベット上での自発痛の有無を確かめていただきました。
「頻繁には通院できない」とおっしゃるYさんに腹臥位姿勢で行なう運動を指導し、鍼灸院で治療してもらうポイントをお伝えして翌月の来院日のご予約をいただきました。

まとめ


Yさんの腰痛の原因はそもそも机上のお仕事が原因で、背を丸めて前傾姿勢で業務を行なうことでした。
使用される机は事務用ではなく、食卓で用いられるようなテーブルを使い、椅子は座面の高さを調節できない木製の物を使われていたのです。
と言うのは専ら机上のお仕事はリモートでご自宅での作業が多いためで、電話対応は転送電話でスマホをお使いのようでした。
ですからパソコン画面を上から見下ろすような格好になり、ペンを使うようなときには手元を覗く姿勢になり、更に頸部と背部を屈曲させることが余儀なくされたのです。
結果、脊柱が後方に飛び出すことになり、腰部もそれに吊られ後方に飛び出してしまわれたのです。
この姿勢が固定し、柔軟性が失われた頚椎・胸椎・腰椎では歩行は足元を見ながらと言うような小股での歩行を余儀なくされてしまわれます。
それで下半身はと言うと、股関節や膝関節も無事では済まず、前傾した上半身に合わせて屈曲が余儀なくされていたのです。
この状態で更なる屈曲姿勢で写真を撮ろうとして腰を曲げられたのですから、腰椎の椎間孔から出た神経繊維を挟まないわけはありません。
※椎間孔や骨が神経を挟むメカニズムは以前もご説明しておりますので、昨年の記事をお読みください。

脊柱矯正で椎間関節の隙間を広げることにより、噛まれた神経線維が隙間の広い場所に移動し痛みや強い違和感が消えたわけですが、身体の自然なカーブを維持していただかねばなりません。
良姿勢の完全回復のため、Yさんには柔軟運動と、後述する鍼灸院での注意事項をお伝えし、一ヵ月後の来院のご予約をいただいて一度目の治療を終了しました。
それはご本人がいくら努力されても、廃用性萎縮した諸筋肉が直ちに回復しないからで、通院距離を考慮して月に一度の来院をお勧めしたのです。
<鍼灸院に依頼した事項>
脊柱の柔軟性維持のため太陽膀胱経の大杼から大腸兪までを重点的に。
歩幅の確保のため、大殿筋起始部付近(腸骨の殿筋粗面の辺り全般)と大腿四頭筋腱の膝蓋骨側の移行部周辺への治療を依頼しました。
結局、腰痛発症から二年以上完治に期間を要しましたが、[疾患を治しきる]には通院回数が少ないわりには早く治った症例でした。
但し、ご自分で行なう脊柱の柔軟運動は今でも行なってもらっております。

著者プロフィール

プロフィール画像

兼田 茂和

国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。

お気軽にお問い合わせください tel:090-9217-2959 WEBサイトの営業電話はお断りしております。

  • 腰痛の原因になる歩き方

当院のご案内

兼田治療院
〒520-1111
滋賀県高島市鴨(宿鴨)2191番地
その痛み諦めないで。兼田治療院へご相談ください!
  • 滋賀県で腰痛治療やヘルニア改善を専門におこなっている当院では
    肩の痛みや膝・関節の痛みなど慢性痛の緩和を目的にマッサージ施術しております。
  • tel:090-9217-2959 営業時間  8:30~21:00 不定休 時間外受付もご相談下さいWEBサイトの営業電話はお断りしております。

ページの先頭へ