病院に行くほどではないけれど２　：　後ろに腕がまわせない

トップページ
>
新着情報

2024年06月03日: 先月からのテーマとして、病院を受診するほどでも無いような痛みや、日常ちょっとした不自由さを日頃から感じておられた人の症例をご紹介させていただいております。
前回の症例は、産休を終えて出勤したところ、制服のズボンが履けなくなったり、仕事中に足に酷い疲労を感じ、歩きに影響を及ぼされた人のお話をご紹介しました。
その人は出産後の骨盤整復が不充分で、骨盤が開いたまま出勤されたためにお尻が引っかかり、ロッカーでズボンが履けなかったり、歩行の異常が生じて疲れを感じておられました。
そうとは知らず、出産して太ったと勘違いされて我慢を余儀なくされていたのでしたが、結論は私の骨盤矯正で整復ができ、もとの体型を取り戻されて難を逃れられたと言うお話でした。
今回の症例は、日頃から利き腕側の肩や腕に異常を感じておられ、洗髪や下着の装着に苦労されておられた人のお話です。

実例：肩が上げ難い＋ブラジャーのホックが填められない

Ｋさん二十八歳は県庁所在地の工具店勤務で、主にレジを担当されてます。
しかし時には陳列品の入れ替えや、品出しもされるようです。腕に異変を感じられたのは、棚の上に手を伸ばそうとされた際でした。
「肘の上と肩の後ろ辺りが引っ張れた」とおっしゃいます。
ですから他人の目を気にしながらグルグルと腕をまわし、柔軟運動をされて再度作業をされました。それでも月日を経過して入浴中、洗髪時に背中の突っ張りを感じられました。
以後症状の進行が早く、背中と腕の動きの可動域制限が加わり、腕や肩をまわす柔軟運動も苦になってしまわれました。
動作痛は日常生活では感じなかったようでしたが、「ただ腕や肩が引っ張れて動かない」と私の問診で告げられました。整形外科を受診することも考えられましたが、「こんなことで病院に行っても薬で治るはずは無い」とお考えになっての来院でした。

原因と治療

Ｋさんは「何故まだ若いのに、まるで年寄みたいになったんだろう？」と不思議に思われてました。
その原因を一言で言うと、Ｋさんの豊満なバストが原因だったと言えるでしょう。
主な仕事がレジ担当だったため、下を向くことが多く、首や背をまるめる姿勢が余儀なくされていたことが推察できます。
それがＫさんの第一胸椎から第十胸椎の後方への飛び出しで照明できるでしょう。
肩関節を構成している骨は上腕骨と肩甲骨です。しかし肩関節の可動に関わる筋肉の場所は、腕や背中だけではありません。
大胸筋と呼ばれる胸部の筋肉は、ボールなどを投げる際に上腕骨を前方に引っ張るはたらきをします。
ですから豊満なバストが災いし、胸部が常に下方に重心がかかった状態で下を向く余儀なくされることが、正常な起立姿勢の崩壊につながったのです。
更に症状を悪化させた原因として、Ｋさんは[肩凝り]を感じ難い体質だったことが挙げられます。
世の中の人は肩凝りを感じられる人と、感じ難い人に分けられます。
肩凝りを感じ易い人だったら、早期のうちに充分な柔軟運動をされたり市販の湿布剤を貼ったりされます。
Ｋさんは不幸にも肩凝りを感じ難かったため、前述の棚の上に手を伸ばそうとするまで柔軟運動をされませんでした。
結果、肩関節の可動に関わる筋肉は常に伸展を余儀なくされて凝り固まり、姿勢の根源である背骨（胸椎）は後方突出して姿勢に関わる筋肉も伸展を余儀なくされてしまったのです。
治療は前述の大胸筋に加え上腕の筋肉（主に三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋等）と背部の諸筋（主に菱形筋・棘上筋・棘下筋・脊柱起立筋等）を緩め、脊柱矯正術で胸椎を整復しました。
施術後、Ｋさんに当該上肢をあらゆる方向に上げてもらったり、負荷をかけて再度行なってもらったりして完治を確かめていただきました。
私は詳しくは知りませんが、女性の下着で肩凝りを抑えられると聞いたことがあります。
Ｋさんのようなことが原因で、肩凝りで苦労されておられる人は一度専門の販売員さんなどに相談されてはいかがでしょう？