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病院に行くほどではないけれど4 : ペットボトルの栓が捻れない
- 2024年08月01日
- 今回のテーマとして、病院を受診するほどでも無いような痛みや、日常ちょっとした不自由を日頃から感じておられた人の症例をご紹介させていただいております。
先月はご自分の肩凝りを自覚できず、頸部の諸筋肉が固く張って頚椎の可動性を失っていることに気がつかずに生活されていた人のお話でした。
その人は口角の一方が引っ張られ、発語が不明瞭で人前で笑い顔を見せられず、医師に【顎関節症】と診断されました。
ですから恥ずかしさのあまりマスクが手放せず、更に医師の見立てに疑問を感じて当院を受診されました。
結論を言えば、何らかの理由で首をまわして元に戻した際、頚椎の一つが元に戻らずに捻れたままだったことで、その頚椎に起始していた筋肉が引っ張られたことが原因でした。
治療は当然頸部周辺の筋肉を緩ませることで完治が見られましたが、当人に肩凝りを自覚させるほうが難しかった症例でした。
さて今回はそれほど年配とは言えない人がペットボトルのキャップが捻れず、困っておられた症例を二つご紹介させていただきます。症例1:握力低下でキャップを捻れない
Eさん四十七歳はトラックドライバーで、県内から農産物を京都市の市場まで運んでおられるようです。
仕事途中に喉が渇き、愛妻に詰めてもらったコーヒーを飲もうと水筒のキャップを回そうとされたのですが、どうしても回すことができません。
「えらく強く締めたもんだな」と諦め、自動販売機の缶コーヒーを買って対処されました。
それを帰宅して奥さんに伝えると、「何言ってるの?」といとも簡単にキャップを回されるのでした。
もう一度キャップを締めてもらい、Eさんがキャップを回そうとしてご自分の右手の握力が低下しているのを初めて自覚されました。症例2:キャップを握ろうとしても親指だけがしっかり握れない
今年の2月にご紹介しましたWさん。
趣味と仕事を兼ねたゴルフで生じる腰痛で、現在まで通院されておられるのですが、問診で今までに無い自覚症状を訴えられました。
それはコンビニに寄ってペットボトルの飲料水を買われ、外で飲もうと利き腕側でキャップを捻ろうとされたのでしたが上手く捻れません。
その際は利き腕とは反対の手指でキャップを捻れて事無きを得られたのですが、「ちょっと診てくれないか?」と利き腕側の掌を差し出されました。
触診では親指を人差指に向かっては倒せるのですが、小指に向かっては手首に痛みが生じて近づけられません。原因と治療
結論を先に述べさせていただきますと、EさんもWさんどちらも利き腕側の前腕部の筋肉の凝りが原因でした。
Eさんの場合は掌側の拇指を除く四指を曲げる屈筋群が固く膨隆し、私が少しの力でその部を圧迫すると痛みを生じ、四指を曲げる力が衰えていることが判りました。
Wさんの場合は、前腕の橈側(外側)の筋肉が過緊張して、拇指の根元の中手骨と手根骨間の関節の動きが制限されることで、拇指が小指に近づくことが困難となったものでした。
どちらの症状でも固く緊張した諸筋肉を緩ませることで改善が図れるのですが、Eさんの場合は更に掌側の手根管と呼ばれる部を構成する靱帯を緩める必要があります。
Wさんの場合は拇指の根元の中手骨と手根骨との間の関節の隙間を広げるため、橈側の筋肉(腕橈骨筋と言います)の腱も緩ませねばなりません。
何故なら、この関節の隙間が狭いままなら関節軟骨が磨り減り、骨の変形を招く危険性が残るからです。
どちらも症状の原因は普段の指の状態にあり、強く何かを握る仕事をされる人は勿論、何もしてないときでも拳を握る癖のある人では無い人よりかは握力が低下しているはずです。対処方法
上記の症状を回避するには、用事で物を握る必要がある人では、用事が終われば今度は精いっぱい指を伸ばして四指屈筋群の緊張緩和を図ることです。
更に休息時など何も手を使う事が無い時は、できるだけ手指を伸ばしてください。
以上のことを心がけていただければ握力低下の防止につながりますが、それでも起床時に箸が持てないとか、歯ブラシが握れないと言う人がおられます。
そう言う人は就寝中に無意識に全身の諸筋に力が入ったままで、勿論拳を硬く握っている事が予想でき、その場合は心療内科の受診をお勧めします。
著者プロフィール

兼田 茂和
国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。
WEBサイトの営業電話はお断りしております。