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病院に行くほどではないけれど6 : 腕が上げられない(偽五十肩)
- 2024年10月01日
- 今回のテーマとして「これで病院を受診しても・・・」と思うような症状をご紹介しております。
先月からは肩凝り症状で起る不快な、或いは不便を感じるような症状をご紹介しております。
それは脇の下に存在する腋窩動脈から、手指に至る血流が上腕部の諸筋の凝りで妨げられたために起こる症状で、常に腕が重たく感じてしまうのです。
もしその状態で整形外科を受診されたとしても、「異常無し」と診断されてしまうだけですし、仮に血流障害と見抜く力を持った医師に巡り会えたとしても根本的な治療は行なえないでしょう。
ですから我々のような理療師が施術して完治が果たせるわけですが、何処へ行けばそれが果たせるのかを知っているのと知らないのでは大差があると言えるのではないでしょうか?。
さて今回ご紹介する症状は、私たちが仕事に就いて腰痛以外で一番多く接する症状なのですが、症状が或疾患に酷似しているため誤診されやすい疾患です。
それは一方(或いは両方)の腕が注1)挙上し難くなり、整形外科を受診したとします。
医師は問診でそれを知り、レントゲン検査などを行い[五十肩(或いは四十肩)]と診断することが多いようですが、全くそうでは無かった症例を私たち理療師は多く見ます。
<注意1: 腕の挙上>
日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会発表(肩関節の可動域)
屈曲(前方挙上) 参考可動域角度 180度
伸展(後方挙上) 50度
外転(側方挙上) 180度
内転(体側に腕を着ける) 0度
外旋 60度
内旋(体幹に回す) 80度
水平屈曲(水平内転) 135度
水平伸展(水平外転) 30度
この話題は以前にもご紹介しましたが、あまりにも多い症例ですので、もう一度ご紹介することで間違った治療からの脱却を促したいと思います。
通例の検査ではレントゲンを用い、骨に異常が見つからねば肩関節周囲の炎症、つまり五十肩(若い人なら四十肩)と診断されることが多いようです。
本当に五十肩、或いは四十肩なら、半年や一年ぐらいで炎症が治まり、ある日突然腕が上げられるようになるのですが、これを肩関節周囲炎と言います。肩関節周囲炎(俗称五十肩 或いは四十肩)とは
前述のように腱の炎症で、肘が或高さ(多くは肩の位置)までしか上げられない病態のことを肩関節周囲炎と言います。
多くの場合回旋筋腱板と呼ばれる部の炎症で、腕が或高さで可動域に制限が加わり、痛みを伴って上げられないものを言います。回旋筋腱板(ローテーターカフ)とは
棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の腱は、まとまって一つの板状の腱板を形成し、
不安定な骨性構造を示す肩関節の上腕骨頭を、前・上・後方より補強・支持しています。
これを回旋筋腱板(ローテーターカフ)と言います。
肩の回旋・屈曲・伸展などでこれらの筋肉はいつも肩甲骨の前側とや同骨外側上端部と触れ合い、摩擦が生じます。
更に腱板はこれらの骨突起と上腕骨上部前側の間に挟まれて損傷を受けやすいと言われております。
回旋筋腱板は老年性の退行変性や外力を受け、肩関節周囲炎や断裂などを起こしやすいと言われており、解剖学的知識の無い人でしたらおそらく何処のことなのか判断できないでしょう。
ですから腕を上げようとしたら、痛みを生じるところが背側の肩甲骨と胸椎との間で生じていても、医師が「五十肩です」と診断しても、反論の余地が無いことになるわけです。
もし本当に五十肩(或いは四十肩)なら、或高さで腕の可動域が制限され、患者本人がどれだけ痛みに耐えて挙上させようとしても上げられません。
痛みに耐えてでも腕が挙上できたとしたら、それは肩関節周囲炎(俗称五十肩 或いは四十肩)では無いと言えるでしょう。
肩関節周囲炎の痛みとは、それほど鋭い痛みです。
一般的な整形外科の治療では湿布や消炎鎮痛剤の処方を受けるのですが、ところが肩関節周囲炎ではなく、ただの肩凝りだったりした症例を幾度も見ます。症例1:五十肩と診断されて一年以上経ってしまった人
Kさん当時41歳女性は、更衣でシャツを脱ぐ際肩の付け根に鋭い痛みを感じました。
それでも我慢してシャツを脱がれたのでしたが、今度は下着を外そうと手を後にまわそうとしても、何故だか手がとどきません。
今朝は普通にできた動作が、夕方になればできなくなっていました。
以後の生活はなるべく肩を動かさずにすむよう、必要最小限度の動作で過ごし、週末に整形外科クリニックを受診されました。
医師はKさんの言葉を聴き、どれだけ腕を上げられるか前方・側方・後方に挙上させてからレントゲンで骨の状態を確かめたようです。
パソコンに写した画像に異常が見つからなかったことから「これは五十肩ですね」と診断され、消炎鎮痛剤と湿布の処方と、クリニック内での電気治療を指示しました。
電気治療は会社の帰宅途中も行い、一年以上が経過しても関節可動域がもとに戻るどころか腕の付け根に自発痛が起こるようになりました。
Kさんの皮膚は湿布による爛れと痒み、消炎鎮痛剤の服用による胃の不快感を感じるようになりました。
以後、患部への注射も受けておられたのですが、腕の痛みと関節可動域の改善には至りませんでした。症例2:真っ直ぐ腕が上げられない
Tさん62歳はタクシー乗務員をされてます。
勤務で運転中、右にハンドルを回すのは容易でしたが、何故だか左のカーブを曲がる際に右肩に違和感を感じることが増えました。
その違和感が悪化したのは間もなくのことで、ハンドルを握る手が真上に達する際に腕が痛みのため上げられないのに気がつかれました。
急いで整形外科を受診されたのですが、問診だけで「それは五十肩です!」と診断され、具体的な治療は何も指示されなかったようでした。
以後Tさんは何とか工夫して業務を続けられたのですが、一年経っても症状は変らず、悲壮を身に纏い当院を受診されました。問診と診察結果
どちらの患者さんも肩凝りを感じることができない人たちでした。
症状はいきなりドカンと起きたわけではありません。
本来の五十肩(或いは四十肩)では、前日までは何の前触れも無く普通に動かせた肩が、翌日起床時に急に動かせなくなると言うことが多いようです。
上記のことが五十肩(或いは四十肩)との違いと言えるでしょう。
KさんもTさんも前駆症状は記憶されており、徐々に症状が重篤化したことを医師に現状のことだけを訴えず、前駆症状のこともお話されたなら誤診されずに済んだはずです。
何れの患者さんも運動不足と言っても過言ではない状態で、体幹の背側に或肩甲骨の筋肉である棘下筋とその内側にある菱形筋は張りを通り越して腫脹をきたしておられました。
お二人とも前述の筋肉がまるで一つの筋肉のように癒着し、触れると鋭い痛みをお感じのようでしたが揉捏法と運動法を幾度も繰り返し、更に上腕上端の三角筋の緊張緩和で関節可動域の回復を見ました。まとめ
人が腕を真上(180度)に上げようとすると、120度は上腕骨、60度は肩甲骨の動きです。
つまり腕が180度まで上げられなくなった原因は、上位から中位胸椎と肩甲骨の周囲の筋肉の凝りが災いしていたわけです。
ですからこれをお読みの皆さんが、もし肘が肩の高さまでしか上げられないようになられたとしても、勝手に自己判断せず、前日の状態を思い出してください。
それでも整形外科を受診されるのでしたら、現在の状況にいたるまでのことは必ずお伝えください。
結果改善が見られないようでしたら、我々のような理療師や鍼灸も有効な手段と言えるでしょうが、電気治療では早期の改善は難しいのではないでしょうか?。
実際五十肩(或いは四十肩)と診断され、「何とかなりませんか?」と当院を受診された人も多くおられました。
本当に関節周囲炎だったとしたら、可動域を完全に回復させることはできませんが、日常生活でそれほど困らない程度までは炎症を起こしている腱以外の諸筋肉や腱を緩ませ、生活のQOLを高める方法はあります。
QOLとは、クオリティー オブ ライフの略で、日本では生活の質と約されております。
著者プロフィール

兼田 茂和
国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。
WEBサイトの営業電話はお断りしております。