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病院に行くほどではないけれど13: 体幹を捻れない=筋膜癒着
- 2025年09月01日
- 先月は正常な歩行が妨げられる疾患の一つとして外反母趾について述べさせていただきました。
足指の痛みで充分な体重をかけることができず、歩行による加速度が加わればもっと強い痛みが生じるため、破歩と呼ばれる異常な歩行が余儀なくされると言う疾患でした。
しかし治療は簡単で、 足指廻しで改善できるのですが問題が一つ。
外反した側の筋肉や腱が同側に固まっているため、指を廻そうとすると鋭い痛みを生じるのです。
ですから入浴中に浴槽で充分に指や足背部を暖めれば、或程度は軽減できますので少しの我慢で行なえるでしょう。
さて今回は体幹が捻れないことが原因で、衣服やズボンを着脱する際に痛みを感じることで生活の質を著しく妨げると言うお話です。
体幹が捻れないと更衣が困難になるだけでなく、自動車やバイクを運転する人なら乗降時に背部に痛みを生じさせることは予想できるのではないでしょうか?。
実際上記の症状で整形外科を受診された人は、レントゲン検査では異常が見つからず、医師に「歳をとればそんなもの」と告げられたようです。
しかしこの症状は年配者だけに起こるものではなく、運動不足の若者でも生じる疾患です。
その場合は医師は難と診断するのか、私は大変興味があるのですがそれはさておき、まず体幹が捻れなくなる原因について述べさせていただきます。
私が経験上、一番多い病状として体幹背側の筋膜癒着が多いように見受けられます。
その多くは捻れない側の菱形筋と僧帽筋と更に外側の肩甲骨背面に或棘下筋の癒着が多いようですが、菱形筋とは肩甲骨内縁にある筋肉で、肩甲骨を内上方に挙上させる作用を持ちます。
棘下筋とは作用は上腕の外旋ですが、この二筋が癒着すると体幹を捻れないと言う前に上肢の完全挙上(バンザイの格好)も困難となります。
僧帽筋とは、項から背中にかけて皮下にある筋で、左右合わせると大きな菱形で、それは僧侶のかぶる帽子のような形をしていることからこの名称がつけられたようです。
作用は、全体が作用すると肩甲骨を脊柱に近ずけ、上部や下部の一部が作用すると肩甲骨を回旋させます。
上部の繊維だけがはたらくと肩を窄める運動をし、下部の繊維だけはたらくと肩甲骨を脊柱に近ずけながら引き下げます。
これでお判りいただけたと思いますが、上記の三筋肉が癒着すると、癒着が見られる体幹の側の動きが妨げられ、無理に動かそうとすると癒着した部に痛みを生じさせるのです。
余談ではありますが筋膜とは、筋肉繊維を包んでいる膜のことで、これが破れると俗称[肉離れ]と言うことになります。
二番目に多い原因として円背が挙げられます。
円背とは書いて字のごとく、背骨(胸椎)が後方に飛び出すことで背が丸くなることを言うのですが、円背だけなら多少は体幹を捻ることはできるでしょう。
原因の多くはこの二例だけですが、珍しい例では神経由来のものもあるようです。
治療方法は幾度もご紹介してきましたので詳細は省かせていただきますが、筋膜癒着は揉捏法などで筋肉の正常化を図り、円背ならば脊柱矯正術で整復を図ります。
たとえ医師に「歳をとればこんなもの」と告げられても、諦めずに我々のような理療師がやっている治療院を受診することをお勧めします。
著者プロフィール

兼田 茂和
国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。
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