滋賀県、腰痛治療

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何処で治したら良いの? ⑥:爪スプーン状変形

2025年10月01日
先月は医師に「歳をとればこんなもの!」と告げられ、身体の異常を我慢して生活されていた症例をご紹介しました。
その人は極限まで凝らされていた肩背部の諸筋肉が癒着し、同側の体幹を捻る動作が妨げられておられたのでしたが、当院の肩凝りを解す治療で完治を見たものでした。
さて今回は凝りによる血流障害の極限と言えるでしょうか?、手指の爪の変形についてご紹介しようと存じます。
ご存知のように手足の爪も血液で栄養されており、両手の爪は左右の腕頭動脈から血液の供給を受けています。
ですから肩凝りで腋窩(脇の下)から上腕→前腕→掌→指へと続く諸道脈の走行で慢性的な筋肉の過緊張により血流が阻害されると、後述する指先の鬱血が生じて毛細血管内の血液循環が妨げられ、様々な悪影響を蒙るわけです。

鬱血部は血液が長時間停滞するため、熱放散が進み 温度が低下します。
色は紫藍色又は暗青色となり、これをチアノーゼと言います。
鬱血部の容積は鬱滞する血液や漏出する組織液の増加によって増大し、硬度が増して鬱血を起こした局所の機能は減退します。
鬱血は充血と異なりその原因が容易に去らないために持続することが多く、その結果 鬱血部に水腫 硬結 組織の偏性や壊死 静脈瘤(りゅう)を起こす事があります。
この疾患のもとの原因は肩凝りで、硬く過緊張した筋肉により血流が阻害され、手首の諸動脈(橈骨動脈・尺骨動脈)の拍動が触知困難となるものです。
私がこの疾患に巡り会ったのは二例で、何れの患者さんも肩凝りを感じ難い人たちでした。
お一人目は当地で開業して間もなく、頭部の痛みと顔面部の違和感・頸肩部と上肢帯の痛みと張りをお感じになられていた人でした。
二例目の人は頭痛と上肢帯のみのご不自由で来院された人でしたが、一例目の人は手指の爪の変形には拘らず、上記の症状が改善できた状態で納得され、通院を終了されました。
今回はこの症状を克服され、完治を果たされた人の症例をご紹介しようと思います。

実例:
頭痛と全身の冷えと上肢の関節可動域の狭まりを訴えて来られたSさん三十三歳は事務職で、隣県の某市の職員でした。
年齢はまだ若く、「肩凝りなんて感じたことは無い」とおっしゃいます。
しかし頭痛と肩関節等に可動域制限があれば、私の経験上ほぼ間違いなく肩凝りだと思うのですが、Sさんは納得できないようでした。
上半身の諸関節の可動域は他動的にはほぼ可動範囲いっぱい可動できるものでしたが、限界付近で痛みが生じるものでした。
驚いたのは手指の冷えと爪の変形で、殊に爪は先がボロボロで、更にその表面は中央が凹んでスプーン状を呈しておられました。
「何故こんなになるまで放っておかれたのですか?」と尋ねる私に、「一度皮膚科には行った」とおっしゃい、「そちらでは何もしてくれなかった」と続けられました。
更に爪部周辺の皮膚の色に変化があったのは当院を来院される数ヶ月前で、これを何処で診てもらえば良いのか判らなかったようです。
このような爪をお持ちの人は慢性貧血症の患者さんに多く診られ、爪が薄く、脆くなり 反り返ってくるものを一般に[スプーン爪変形]と言います。
このような患者さんの他の症状では、貧血時に起こることが多いと言われており、上肢の血流障害でもこのような爪の変形をきたすと言われております。
更にこの方の手指先の色が暗褐色を呈しておられるのは、手先の動脈に血液が到達し難くなったことにより、脆弱になった毛細血管の壁が破れ、皮下の組織に血液が漏れ出したことによるもので、病名をチアノーゼと言います。

何度かこのホームページでご紹介してきましたが、冬でも暖房が使えない板前さんや包丁を使うお仕事の人に多いのですが、足の指でも起こることがあります。
まず治療は頭痛の原因となっている頚動脈の圧迫の除去から始めることにしまして、肩上部から斜角筋の緊張緩和を図りました。
長期間緊張を余儀なくされた三枚の斜角筋の中と外の斜角筋の起始部付近には硬結が散在し、患者さんに与える痛みを最小限にすることに苦労はしましたが、幾つかの揉捏法を繰り返すことで側頸部の血流改善が図れました。
更に顎を引き下げるはたらきをする胸鎖乳突筋の緊張緩和が図れ、上項線への指圧を施した後で、Sさんは「頭痛が消えて何かスッキリした」と改善が自覚できたようでした。
狭い肩上部と腋窩の施術では当たりの広い施術ができず、特に深層の筋肉の緊張緩和を図ることが難しく、運動法を用いながらの弛緩術で異常な張りを取り除くことができました。
「肩や背中の荷がとれたよう」とお喜びになられましたが、チアノーゼの改善には程遠く、ここからがマッサージの本領発揮と言う事になります。
上肢の施術では橈骨動脈の拍動を触知しながら按捏法や揉捏法、軽擦法を何度も繰り返しましたが拍動の改善が見られても直ちに自覚症状の改善には至りません。
その日の治療は頸肩部の改善のみ見て終了と致しまして、二度目からの治療は上肢の腋窩から上腕、上腕から手掌までの血流改善に重点をおきました。
三度目にお越しになられた頃には「腕や掌の冷え感が無くなった」とおっしゃいましたが手指先の変色や爪の変形の改善にはまだ至らず、「頭や首や肩の自覚症状が無くなってそれで良いとおっしゃるならこれで治療の終了としますが、どうされますか?」と尋ねる私に、「こんな爪では恥ずかしいから」とおっしゃって手指の改善が見られるまで治療を継続いたしました。
その後一年が過ぎようとした頃、「黒かった肌の色がピンク色になりました」とお喜びいただき、更に三ヶ月後には爪の中央の凹部が盛り上がってきましてようやく手指の症状の改善を見ることができました。
治療期間は一年と三ヶ月以上と日数は要しましたが、これでこの方の血流改善が果たされたと判断し治療の終了と致しましたが、皮膚科の診察でチアノーゼの治療が施せなかったのが意外でした。

著者プロフィール

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兼田 茂和

国家資格あん摩マッサージ指圧師保有。
日常的に抱えている慢性痛に対し、その痛みの原因を追究して根本を改善することで、痛みの軽減を目指します。日々、人の命を預かる重みを感じ、ひとりひとりに合った施術で、最後まで誠心誠意施術致します。

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